講演と質疑、『吉田茂という反省』など

石破  茂  です。
さる17日の私のパーティには、年末ご多忙の折にも関わらず多くの皆様にご参加を賜り、おかげさまで賑やかな会となりました。決して安くはない会費と貴重なお時間を拠出してくださった方々のお気持ちに背くことの無いよう、厳しい環境の中にあればこそ一層の努力精進をしなくてはならないと思いを新たにしたことでした。
本当に有り難うございました。

三月の党大会以来、憲法の議論はいささか停滞気味ですが、今週送られてきた「吉田茂という反省」(阿羅健一氏と杉原誠四郎氏の対談・自由社刊)は今までの憲法改正論とはいささか趣を異にするものです。

阿羅 健一:杉原 誠四郎
自由社
2018-08-13

 

両氏は「新しい歴史教科書をつくる会」に関わってこられた方々で、私は一面識もないのですが、添付されていた挨拶状を読んだ限りでは、結論において私の従来からの主張とほとんど乖離がないように思われます。

日本の戦後に吉田茂元総理が果たした役割は決定的に重要であり、保守の立場からこれを批判的に論じたものはいままであまり見かけられませんでした。

憲法第9条改正について、第1・2項をそのままにして新たに第3項で自衛隊の存在のみを書き込み、9条についての考え方は全く変わらないとする案は、従来の保守の立場からは容認しがたいものなのでしょうが、一瞥した限りではこの不満に対する一つの解決策を示しているようにも思われます。

お正月に暇を見つけて精読してみたいと思っております。

今週はいわゆる市民団体系の政治フォーラムや講演会に呼ばれる機会が2回ありました。講演の後での質疑応答では挙手される方が相次ぎ、長時間にわたってエキサイティングな議論が続きました。

小泉内閣で初めて防衛庁長官に就いた時に私は「極右の軍事オタク」と酷評されたものですが、いまや「サヨクの軍事オタク」と一部で揶揄されるに至っています。私自身の主義主張は一貫して変わっていないのですが、世の中の座標軸が大きく動いているのだと思っています。「真の○○」とか「真正○○」などと自称する勢力もここ数年見られますが、何故自分をそう称し、それと異なる主張を「偽の」と断ずることが出来るのか、いささか理解に苦しみます。

マティス米国国防長官が来年2月にも辞任するとの報道がありました。国務長官、首席補佐官、国防長官などが相次いで辞任するトランプ政権とは一体何なのでしょうか。

就任当初「狂犬」とも言われた同長官ですが、ブッシュ(子)政権のパウエル国務長官がそうであったように、軍人出身の米国外務・国防担当閣僚は基本的に戦争を回避し、抑制的に行動してきました。後任はまだ不明ですが、来年のトランプ政権への対応は一層難しくなるように思われてなりません。

週末は、22日土曜日は地元で小林昌司前若桜町長の叙勲祝賀会(若桜町)、さじ地域協議会創立10周年記念大会で地方創生の講演(鳥取市旧佐治村・現佐治町)、ちんたい関係者との懇談会(倉吉市)、JA中央役職員との忘年会(同)、23日(天皇陛下御生誕の日)は滋賀県で開催されるパーティでスピーチの後に民放テレビ番組の収録、25日振替休日は長野県での年末懇親会に行って参ります。

今上陛下御在位中の御生誕の日はこれが最後となります。この上なく有り難い陛下を頂いたことの素晴らしさをしみじみと感じます。

皆様、年末ご多忙のことと存じます。どうかご健勝にてお過ごしくださいませ。


編集部より:この記事は、衆議院議員の石破茂氏(鳥取1区、自由民主党)のオフィシャルブログ 2018年12月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は『石破茂オフィシャルブログ』をご覧ください。