ゲーマーとして「ゲームで遊ぶのは時間のムダ」に反対したい

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

世の中には「ゲームなんて時間のムダ」「後に何も残らない」とバッサリゲーマーを斬ってしまう人がいます。

私は根っからのゲーマーで、先日もスクエニの年末のアプリセールで興味のあるゲームをいくつも購入してしまいました。いい年になって今もスマホでゲームを楽しんでいます。

私はゲームが大好きなので、「ゲームなんて時間のムダ!」とバカにする人たちに一言言い返したくなってしまいました。

娯楽は楽しい事そのものに価値の本質がある

そもそも、娯楽とは「有意義な何かを生産する」事ではなく、「心が楽しい事」に価値の本質があるのです。

「有益な何かをしよう」とか、「時間を有意義に」となると、それはもう投資やビジネスの範疇になってしまいます。投資やビジネスは100%徹頭徹尾、成果を求める行為です。やるからにはストイックに「結果」という数字を求めていく…。「結果>楽しさ」という構図ですから、結果を出して嬉しい半面、その時間は楽しさだけで塗りつぶせるわけではないのです。

もちろん、結果を求めていく過程を楽しめれば最高なのですが、「ビジネスや投資では絶対に味わえない、違う種類の楽しさ」が娯楽にはあります。

例えば体を動かす楽しさというのは、机でマーケティング施策を練ったり、PCでトレードをするのとは違った楽しさがあります。私はスキーが好きで、機会があればいっています。あの全身で味わう、スピード感、険しい雪山を滑る滑走感、スリルはスキーでしか味わえない楽しさです。

そして、スキーをすることで「有意義さ」を出力するというなら、それはもう、スキーのプロ選手でもなければ実現しえません。私がスキーをするのは「楽しいから」であって、経済的価値の追求ではありません。つまり、これは「投資」ではなく、「消費」としての時間の使い方です。

でも、人生は有意義な時間を過ごすために生まれ、生きているのではありません。限りある時間を精一杯楽しむために生きているわけです。娯楽は短い人生を楽しい時間に染め抜いてくれる、「有意義でないが、消費する楽しさを味わう時間」なのです。

ゲームの楽しさはゲームでしか味わえない

私はFFやストリートファイターにハマって成長した世代です。夜な夜な、ゲームセンターに繰り出し、「乱入合戦」と呼ばれるバトルに手に汗握り、達人たちのプレーにハラハラする時間を堪能させてもらいました。コテンパンにやられて、台を殴りたくなるほど腹を立てたこともありますし、逆にコテンパンにしすぎて「オイてめー、表出ろ!」と絡まれたこともあります(幸い、何もされませんでしたが…)。

ゲームの楽しさとは、自分の能力をフルに活用して、他者やCPUと手軽に競い合える点にあります。ストリートファイターで見知らぬ他人と戦う中で、

「うおっ、この反射神経はまさにバケモノだな」

「え?動き読まれてる!?ニュータイプかよ!」

と興奮したものです。普通に生きていて、反射神経や器用さを手軽に他人と競い合う事はなかなか出来ません。しかし、ゲームならそれが可能なのです。今ならインターネット対戦も盛んで、ネット対戦を経て仲良くなったゲーマー友達もいます。

また、ゲームを語る上で重要なのはビジュアルとサウンドです。つまり、映像の美しさと音楽です。これが他のエンタメと一線を画するレベルの没入感を生み出します。特に昨年、バイオハザード7を購入したのですが、あまりの映像の美しさとサウンドの迫力、一瞬でゲームの世界に引き込まれてしまいました。VR機器も相まって、とにかく怖い!

「これ…ドア開けるとモンスターが飛び出してくるのでは?」

と恐怖でドアが開けられず、いつまでもドアの前でウロウロしていたくらいです。これだけの没入感を作り出す娯楽はゲーム以外にはありません。映画であれば、目をつむっていても物語は進行していきますが、ゲームは自分自身が主人公ですから、勇気を出して思い切ってドアを開けなければ、一歩も先に進むことが出来ないのです。

この究極の没入感を味わえる娯楽はゲーム以外にはないと思います。

これからの時代はますますゲームの価値が高まる

これからはつまらない作業、きつい作業はどんどんAIとロボットが代行していくでしょう。そうなるとますます、娯楽として楽しめるゲームに、価値が備わると考えます。

AIとロボットの台頭が進み、これから先、2045年にシンギュラリティが起こって労働から開放された時、人は新たな課題に直面します。それは「ヒマ」ということです。

今よりさらに人生は長くなり、ヒマを克服するには娯楽が非常に重要な意味を持ちます。面白いゲームを生み出すものには人が集まり、人が集まるところにはマネーが集まります。シンギュラリティの時代にマネーが存在するかは分かりませんが、ヒマを克服できるゲームは、今より更に大きな価値を生み出すのではないでしょうか。

「ゲームは時間のムダ」という人は、娯楽の本質を理解できていません。ムダだからこそ成果を気にせず、気の向くままにディスプレイの向こう側の自分を動かしてハラハラし、心を遊ばせてくれるのです。ゲームはいつまでも愛すべき最高のエンターテイメントだと思います。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。