義務教育で教えるべき、「コピーライティング」というスキル

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

マーケティングの世界には、「コピーライティング」というスキルがあります。コピーライティングはしばしば「人にものを買わせるための騙しの手口」と揶揄されますが、それは単に詐欺師たちがコピーライティングを詐欺の道具に使っているに過ぎません。

コピーライティングとは、その商品・サービスを必要としている人にきちんと届けるために必要なスキルなのです。私は学校の国語の授業で教えるべき、内容だと感じています。

今回はダイレクトレスポンス広告におけるコピーライティングについてお話をします。

コピーライティングとはなにか?

ネットマーケティングをやっていない人にとっては、「コピーライティングってなんだ?」と思われるでしょう。ここで軽くその意味について触れておきます。コピーライティングとは、ズバリ、「言葉で読者を意図したように動かす」ことを目的としています。

誤解のないように言っておくと、「とにかく自社サービスを売り込むスキル」ということではないのです。利用者に経営理念に共感してもらう、商品・サービスの魅力や注意点を理解してもらう、説明会に参加してもらう、注意点に留意してもらうなど、その分野は多岐にわたります。

ネットマーケティングの経験がない方には驚くような話かもしれませんが、コピーライティングを使わなければ、本来はどれだけ魅力的なものでも売れませんし、興味を持ってもらうことすらありません。商品写真をきれいに掲載して、商品仕様を載せておけば勝手に売れていく、なんてありえないのです。言葉を添えるだけで、変えるだけで売上が数倍、数十倍変わるということはザラです。

私はメディアに寄稿する記事で、物を売らない時でさえ、自分をブランディングしていく上で頻繁にコピーライティングを取り入れています。その結果、メディア取材が入ったり、仕事を得たり、興味を持ってもらったりすることができているわけです。ですので、ものを売らないブロガーであってもコピーライティングは必須のスキルです。 

コピーライティングの実例

私が経営している肥後庵でも、コピーライティングをよく取り入れています。例えば、新高梨を取り上げるときに、

「おいしいですよ。珍しいですよ」

とだけ書いても人は興味を持ちません。

「ふーん、そうなんだ。でも高いね」

で終わりです。ですので、私はこう書いています。

「一年365日ある中で、この梨を食べられる期間はたったの1ヶ月にも満たないのです。今買わなければ、来年までお待ちいただくことになります。大変珍しいので、秋の季節の贈り物や、出産や結婚内祝いなどのサプライズギフトになります。」

こう書くだけで売上はまったく違ってきます。

「今しか買えない」という希少性を刺激し、

「待ちたくない」という損を回避する欲求を刺激し、

「なにか珍しいものがないかな?」というニーズを刺激し、

「ありきたりでない、出産や結婚内祝いに使える」というニーズを刺激します。

ウソを言って不当にものを買わせるためではなく、新高梨の本来の魅力をしっかり伝えて、必要な人に必要なものを届けるスキルであるということがお分かり頂けたでしょうか。

日常会話でも活きるコピーライティング

私は2歳のイヤイヤ期に入った長男のお世話をするときにも、コピーライティングを大いに活用しています。

「これを触らないで!」と叱ると、子供は反抗的になり、逆によく触ります。ですので、

「これに触ると痛いから、やめたほうがいいよ。どうする?」と伝えると、触らなくなります。

「早く寝なさい!」というと、キャッキャ騒いで寝なくなります。ですが、

「早く寝て、早く起きたら果物狩りに行けるけど、寝るのが遅くなるといけないよ。どうしようか?」というと、「うん!行きたいから寝る!」とすぐに寝てくれます。

コピーライティングとは、無言で選択肢を相手に放っているのです。上記の新高梨の例で言えば、「新高梨を買いますか?買いませんか?」という選択肢を相手に投げかけています。そして、子供の例で言えば「触るか?触らないか?」「寝るか?寝ないか?」という2択を迫っています。本人は自分が選択肢を選んでいる自覚があるので、不満を覚えません。人は選択肢を与えられたら、その枠でしか考えなくなります。これもコピーライティングの技術が活きているのです。

私は子供相手でなくても、コピーライティングを活用しています。相手に絶対に強制はせず、必ず選択肢として伝えています。ランチをとるという話になったら、

「今自分は猛烈に中華が食べたいから、ぜひ中華にしよう!」

というと、頼もしいと思う人がいる一方、押し付けがましいと感じる人もいます。

「イタリアンもフレンチも和食もいいね。でもね、今は中華がいいかもしれない。これは事前に調べてきたんだけど、今ならこの中華ではツバメの巣スープが半額なんだって。珍しいよね。いくなら中華ありじゃない?」

と伝えれば相手も「それならいいかも」とすんなり受けてもらえるでしょう。

コピーライティングは意図した通りに相手を動かす技術、と思われがちです。でも、気持ちよく相手とコミュニケーションを取るための技術ですから、極めれば相手とぶつかる事がなくなります。

個人的にはコピーライティングはもはや義務教育で教えるべき、円滑なコミュニケーションから、マーケティングまで使える技術だと思っています。

ところで今回のこの記事、

下手をするとあなたの人生を変えかねない重要な事が書いてあったことに気づきましたか?

特に「冒頭部分」にしっかり記述していましたよね?

もちろん、覚えていますよね?

非常に重要ですので、忙しくて時間がないかもしれませんが、

もしも見落としたなら大変です。

重要な冒頭部分だけでも読み直すのに時間を使ってください。

なぜこのようなことをいうかというと、

万が一取りこぼしがあると

「あなたが損をしてしまう」

からです。

…というのは、あなたをもう一度この記事を読ませるために仕込んだコピーライティングです(笑)。

「あっ、読み直したほうがいいんだ」

って思ったらまんまと動かされていますよ(笑)。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。