「スターバックスが消える日」は来るのか?

内藤 忍

ほぼ毎朝スターバックスを利用しています。このブログのコンテンツもスタバで考えて書きました。メールマガジンのテキストも作ることもあります。朝の大切な時間を過ごす場所です。

スターバックスコーヒーの最大の問題は、非効率なレジ対応です。ピーク時には10人近くが行列しており、並ぶのを諦めてしまうことも珍しくありません。接客もコーヒーのクオリティも価格に見合ったサービスなのにとても残念です。店員の能力の問題ではなく、オペレーションの仕組みの問題です。

luckin coffee(公式HPから)

篠塚孝哉さんがnoteに書いている記事で、そんな問題を解決する画期的なコーヒーチェーンが中国に誕生したことを知りました。

Luckin Coffeeという2017年末に創業したコーヒーチェーンです。

2018年1月に1店舗目をオープンさせ、2018年末には1500店舗近くをオープンさせたという恐るべきスタートアップ企業です。ドトールコーヒーやタリーズが日本で1000店舗いくかいかないかですから、凄まじいスピード感です。

コーヒーの香りや内装などのクオリティはわかりませんが、オペレーションが画期的です。何と注文がアプリでしかできないのです。店舗にはメニューすら置いていないそうです。

アプリでしかオーダーを受けないとどうなるでしょうか。店舗に行く前に携帯からオーダーし、決済も終了。お店では出来あがっている商品をすぐにピックアップできます。レシートもネット上で必要ならプリントアウトする。こうなると店員はオーダーを受けたコーヒーを作ることに専念できます。

スターバックスでは、レジの接客キャパシティが売上の上限ですが、アプリだけで注文を受ければコーヒーマシンの製造能力が上限になり、生産性はアップします。

日本に進出してくるかわかりませんが、アプリがあれば全世界で均一なクオリティのオペレーションが可能になります。

「仕事とは世の中の問題を解決することである」という言葉からすれば、スターバックスが抱えている「問題」を解決するのが、こんな斬新なスタートアップ企業なのだと思います。

あのピータードラッカーが「全米で最も成功した企業」と絶賛した、アメリカの流通大手企業シアーズは、経営破綻しました。買い物に時間がかかる、荷物を運ぶのが面倒、在庫が無いのがストレス。そんな顧客の問題を解決したアマゾンのようなネット小売りに顧客を奪われたからです。

コーヒーチェーンで最も成功したスターバックスもシアーズの二の舞にならないとは限りません。

それにしても中国企業の破壊力は型破りです。クオリティよりもスピードで展開するビジネスモデルに日本企業が太刀打ちできないのが何だかもどかしいです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年1月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。