20年司法試験浪人の職歴無しニートを救う方法はあるのか

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

初めて記事を読んでから、もう6年が過ぎようとしているブログがあります。そのブログは2014年に2回記事が投稿されてから4年が経過して更新が途絶えています。全部で57記事のブログなのですが、1記事に1,000コメント、多いと3,000コメントが寄せられる異常な事態になっています。それは次のブログです。

昭和42年生まれ元司法浪人無職童貞職歴無しの赤裸々ブログ

昭和42年生まれの元司法浪人生です。日々の出来事や過去の来歴を隠すことなく赤裸々に語ります。

生きていれば彼は今年で51歳を迎えます。詳細はぜひ、ブログの記事を読んでみて下さい。その卓越した文章能力に引き込まれ、おそらくあっという間に57記事全部を読み終えてしまうと思います。それだけのとてつもない筆力と、心に迫る迫力ある描写力の持ち主です。

今回は私が思う、このブログ主を救い出す方法を考えてみました。

なぜ彼のブログはこんなにも人を魅了し、やまないのか

このブログは公開後、程なくして大きくバズりました。私もバズったことでブログの存在を知ったのですが、ブログ主が記事を公開する度に1,000を超えるコメントが付く大変な賑わいを見せています。あっという間に、まるで有名芸能人のようなブログになってしまいました。

読んでもらえると分かると思うのですが、このブログ主はとても繊細な心の持ち主で、文章能力はとてつもなく高いことが分かります。文章を書く世界に行っていれば、成功してもまったく不思議ではありません。

ですが、その心の繊細さと高すぎるプライド、複雑な家庭環境などで常識が歪んでしまい、司法試験浪人撤退後のアルバイト先で実におかしな行動を続けてしまいます。社会人を経験している人から見ると、とても滑稽で読んでいるだけで笑いだしてしまいそうになるのですが、私は彼がとても不憫で読んでいて心が痛くて、救い出したいと真に思わずにはいられませんでした。記事を読んでいてとても歯がゆいのです。

「そういう時はこうしたらうまくいくと思いますよ」とか「寂しくて仲間がほしいなら、自分で良ければお付き合いさせてもらいますよ」と優しい言葉をかけ、出来ることなら彼を守り、その悲惨な境遇から彼を救い出したいと思わずにはいられませんでした。

滑稽なのですが、辛く、歯がゆく、そして手を差し伸べずにはいられない、そう思わせるのはまさに彼の持つガラスのような心の繊細さと、卓越した文章能力という魅力です。

彼はどうしたら救われるのか?

人は経験によって階段を一つ、そしてまた一つ登っていくものです。

青春時代、友達とバカやって騒いだり、気になる子と手をつないでドキドキしたりすることで、大人への階段を登っていくものです。私も昔はバカをやって周囲の大人からよく叱られて育ちましたので、今はもう昔やったバカをやろうとは思いません。それは過程を経験しているからです。

しかし、彼は違います。大学卒業から40半ばになるまでの20年間、医学部と司法試験浪人を続けてきて、図書館で季節感もなく机の上で勉強だけをしてきたのです。その20年間の間に食事や睡眠、勉強などはあったでしょうが、心が動くような出来事は何もなかったことでしょう。私なら耐えられません。20年間も心が動かない生活をしてしまうと、廃人になってしまいそうです。

しかし、彼はある意味で不屈の心の強さを持っていて、司法試験合格を目指して頑張ってきたのです。それは「社会的に認められて、女性にモテたい。友人たちと騒いで青春を送りたい」という極めてシンプルで、こんな言い方は良くないのかもしれませんが、青春時代に誰もが経験してきた極めて若い欲求を叶えたい一心で、ここまでやってきたわけです。

彼が人生を充実させる方法、それは文字通りもう一度青春を取り戻すしかなさそうです。誰もがやったように、友達とトランプやゲームで朝まで騒いだり、カラオケで盛り上がったり。あいにく「これから10代の彼女を作る」というのだけは難しそうですが、それ以外なら出来なくはないと思います。

彼について離れない足かせ

ただ、彼の足元には決して離れることのない足かせがついています。これをなんとかしないといけません。

ブログの中でも言っている通り、「事あるごとに心のブレーキがかかり、遊んだりアルバイトといった普通の人が経験することが出来なかった」と足かせがあるために普通の人が当たり前のようにする経験を遠ざけてしまったわけです。

これは並大抵の難しさではありません。普通の人でも、メンタルブロック、つまり「自分はこのくらいの仕事をやるべきで、このくらいの幸せが十分なのだ。高望みしてはいけない」と自分の人生の大きさを決めてしまうことがまま、あります。彼の場合は常人とは比較にならない足かせの重さがありますから、たとえ目の前に「一緒に遊ぼう!」と友人になってくれそうな人間が現れても、「自分なんて」と彼らを遠ざけてしまうのではないかと想像出来ます。

「文才があるから本を書けばいい」このようにアドバイスをする人もブログコメントに見られました。その通りです。彼は文才があるのですから、本気を出せばこの文章と人生経験をマネタイズすることが出来るでしょう。ブログを更新し、広告を貼るだけでも月に数万円、もしかしたらもっと稼げるかもしれません。

ですが、それも断ってしまいそうです。もう彼はあらゆる事に打ちのめされすぎてしまいました。ここから立ち上がって更なる試練に立ち向かえというのは、酷な話なのです。

彼を救う方法とは?

彼のブログを見ていて思う、彼を救う唯一の方法、それはこれしかないと思います。「彼が自分自身で救おうと思うこと」これだけです。私で良ければ友だちになって一緒に話をしてみたい、という気持ちはあるのですが彼がそれを望むかどうかは分かりませんし、それが救いになるかどうかも分かりません。それに人間はどこまでいっても、自分が人生の主役であり、最後に自分を救ってくれるのはいつも自分自身しかいないのです。

事実、彼は救われたいと望んで原付きの免許やアルバイトなどで、少しずつ変化をもたらしています。これは彼自身が救われたいと思い、少しずつ行動を初めた結果なのです。

私は遠くで彼が救われるのを祈るしかありません。人生は遅すぎることはないと思います。求めていたものが違った形で手に入ることで幸福を得るものです。どうか、幸せに。それを心から願っています。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。