出版物のなかでもビジネス書は劣化が激しい。質の悪いビジネス書が溢れているのである。簡単に読めてしまう自己啓発や成功本はそのどれもが酷似しており、著者もなんだかうさん臭い人が多い。今回は、『頭が良くなり、結果も出る! モテる読書術』(すばる舎)を紹介したい。著者はマーケティングコンサルタントの長倉顕太さん。
ビジネス書が売れなくなった理由
長倉さんは、ビジネス書が売れなくなった理由を次のように解説する。
「最近、ビジネス書が売れないということをよく聞きます。でも、これは当たり前の現象だと思います。だって、もはや本の読み方は変わったわけだから、ある意味、一番、インターネットにとって代わられるのがビジネス書なわけだから。ビジネスにとって重要なのは、情報の鮮度だったりするわけです。」(長倉さん)
「翻訳サイトの充実によって海外の情報も手に入りやすくなった。だから、ビジネス書の役割は終わったと言ってもいい。日本の出版物って雑な作りなものが多かったりする。1年間で編集者1人が十数冊作らないといけなかったりもするから、そうなってしまう。」(同)
事実、本を読み慣れてくると中身の無さにびっくりすることもある。スピリチュアル本なんてまさにそうだ。祈って人生が変わるほど甘くない。
「当たり前だけど、合格祈願に行ってる暇があったら、英単語の1つでも覚えたほうが合格に近づきます。最近は、読書そのものが変わりました。新しい時代に入ったわけです。そんなときに、どうやって読書をするかは重要。」(長倉さん)
出版にはどのような種類があるの
出版には、大きく分けて3つの種類がある。
1.商業出版(費用は出版社が負担する)
2.自費出版(費用は著者が負担する)
3.共同出版(双方折半で負担。企業出版などもこの範疇)
最初に、商業出版を目指すことになるがハードルは高い。商業出版は出版社にとって大きな投資になるからである。これを実現するには、投資分の回収と、利益が見込めると思わせることが必要になる。そのため、著名人や実績のある人、ネット発信力の強い人は有利になる。自費出版や共同出版は著者が費用を出して出版を実現する方法になる。
また、最近では、商業出版スクールや出版コンサルが割拠状態にあり一層わかりにくくなっている。本を出したいのであれば業界に精通しなければいけない。本書は10年間で1000万部のベストセラーを連発してきたカリスマ編集者の裏・読書術になる。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
※新刊情報(筆者11冊目の著書)
『即効!成果が上がる文章の技術』(明日香出版社)