「9」の付く年は中国で大暴動発生!

長谷川 良

当方は久しく海外中国メディア「大紀元」日本語版を読んできた。欧米、日本メディアが書かない貴重な中国情報が報じられているからだ。12年前だったと思うが、法輪功信者への臓器強制移植問題に関する記事を読んでショックを受けたことがある。その数年後、不法臓器の移植問題は他の大手メディアでも報じるようになったが、最初の報道は「大紀元」だったと思う。「大紀元」はまた、政治情勢だけではなく、人間の精神生活に関する水準の高い文化記事が多い。

▲中国マクロ経済学者で、人民大学国際通貨研究所理事兼副所長の向松祚(コウ ショウソ)氏(大紀元資料室)

そこで今回、「大紀元」から中国の2019年の政治、経済の見通しに関する記事をまとめた。

中国では「逢九必乱」という言葉がある。その意味するところは、「9」という数字が付く年は社会が混乱したり、政治的暴動などが発生するという内容だ。今年は2019年だ。「9」の付く年だから、中国では多くの混乱や大暴動が起きると予想されるわけだ。
習近平国家主席は昨年12月31日に行った新年の祝辞で、「中国は100年に1度の大変革の時を迎えている」と述べる一方、李克強首相は1月12日、国務院常務会議で「今後、苦しい生活を送る覚悟をすべきだ」と警告を発している。

<過去の「逢九必乱」>
1949年:中国共産党が政権を奪う
1959年:チベット蜂起
1969年:中国とソ連の軍事衝突
1979年:中越戦争の勃発
1989年:民主化暴動(六四天安門広場事件)が起きる
1999年:法輪功信者への大規模な弾圧
2009年:新疆ウイグル自治区ウルムチで大規模な暴動、

さて、今年の「2019年」を中国関係者はどのように予想しているだろうか。

中国共産党政権は、国内では経済の減速、失業者の増加、社会不安の拡大など、国外では通商貿易やハイテク技術、軍事などの分野で米国とのホットな貿易戦が更にエスカレートするとみている。

台湾の時事評論家・林保華氏は米ラジオ・フリー・アジアに対して、中国共産党政権は3つの危機に見舞われる恐れがあると述べている。
①中国経済の急減速と米中貿易戦の影響で、金融危機発生の可能性、②中国共産党政権の極左政策で、共産党内部の闘争がより激しくなり、クーデター発生の可能性、③中国当局の覇権主義で、国際社会で孤立化が進み、米中両軍が軍事衝突する可能性だ。

一方、中国の著名なマクロ経済学者、人民大学国際通貨研究所副所長の向松祚教授は今月20日、中国上海市で行われた経済フォーラムで、「2019年にミンスキー・モーメント(全ての資産価格が急落する時)の到来に警戒せよ」と警告を発している。

向教授によると、中国経済が景気の冷え込みを招いた原因は4点。
1)中国当局が金融リスクを低下させるための債務削減政策で企業が資金難に陥ったこと。
2)中国企業の収益が少ない
3)中国当局の私有制と民営企業を排除する姿勢により、民営企業経営者の心理が強く打撃を受けたこと。
4)米中貿易戦(唯一の外部要因)。

向教授は、「現在中国人が保有する富の8割が不動産だ。中国の不動産時価総額は65兆ドルに達した。先進国の1年間の国内総生産(GDP)の合計に匹敵する。中国の金融システムは、資産に対する投資家や企業や個人の楽観的心理に基づいている。ある日、中国人が不動産市場、株式市場、ファンドなどすべての金融資産に失望した時、ミンスキー・モーメントが起きる」というのだ。

経済が厳しくなれば、当然、その波紋は政治、社会など他の分野に波及する。中国共産党政権は中東や旧共産圏各国で起きた大規模な民主化運動「カラー革命」が中国で発生するのではないかという懸念と恐れを抱き始めている。

今年は中国共産党の政権奪取70周年、チベット蜂起60周年、六四天安門事件30周年、法輪功弾圧20周年など大事件の節目の年を控えている。中国共産党政権は社会不安による政権崩壊を強く警戒し、政権安定の維持と制度安定のため、治安対策にこれまで以上に力を入れてくるだろう。ちなみに、中国では過去1年間、退役軍人、不正ワクチンの被害者、P2P金融の被害者などの抗議デモが発生している。今年に入り、国内知識人100人が言論の自由など民主化を要求し、一部では「中国共産党は歴史の舞台から立ち去れ」といった発言も飛び出したという。

以上、中国の「2019年」への予想は厳しい。隣国の大国・中国の政治、経済の混乱は日本にも大きな波紋を与えることは必至だ。それだけに、日本も一層、中国の動向に注意を払う必要がある。

参考、引用した「大紀元」日本語版の記事は

「9が付く年に中国社会が混乱」1月9日
「苦しい生活に備えよ」1月16日
「カラー革命に初言及」1月22日
「中国の著名な経済学者、最新講演でミンスキー・モーメントに言及」1月23日


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2019年1月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。