アメリカは長い選挙戦があることからいつも次の選挙に向けた動きに目が奪われ、落ち着く暇がない国であります。こういう比較をしてはいけないのかもしれませんが、国政と会社経営には似たところがあり、立て直しにしろ、成長路線にしろ一朝一夕には語れないのに短期間にその兆候や結果を知ろうとする傾向があります。
選挙の場合、予備選と本選、それに中間選挙がありますし、企業の場合には四半期決算と本決算があるわけです。どれも要所要所で数字なりで確認でき、「可視化」状態にあることも特徴であります。
次の大統領選は2020年11月に行われそこで選ばれた大統領が21年1月に就任するというスケジュールになります。その予備選は2020年2月頃から本格化するため、1年前である今から大統領選に立候補表明する議員が今、続々と現れているのです。
この大統領選は単に候補者を選ぶというより民主と共和のポリシーのぶつかり合い、そして世論の盛り上がりが世界の風潮やトレンドをも左右する極めて重要なベンチマークであります。例えば前回の大統領選で経験したことは初の女性大統領誕生か、政治家出身ではない人が大統領につくのか、という切り口もありましたし、オバマ前政権のレガシーを国民がどう受け止めるのかという見方もありました。
またトランプ大統領が誕生した後、国民の民主(主義)への強いこだわりの声も上がりましたし、トランプ大統領の自国主義が世界政治の基調を作りました。
前回の大統領選挙の場合はオバマ大統領の2期目が終わったこともあり 民主、共和とも候補者をぶつけるという戦いになりました。ですが、2020年の大統領選は通常で行けば 共和党はトランプ大統領がそのまま候補に横滑りしますので対戦相手の民主党から誰が出るか、に絞り込まれる形となります。
では、その民主党、果たして反トランプとして一致団結したボイスを挙げることができるでしょうか?今の段階で予想は出来ませんが、私の考え方を述べさせていただきます。
一般世論は現状の生活に満足か不満足か、により選挙へのボイスの大きさが変わってきます。現状の生活とはとりもなおさず経済的豊かさであります。政治は360度、全方向をカバーします。経済、財政、社会、外交…といろいろな役目がありますが、国民生活に直撃する共通点は経済と断言してよいでしょう。これは日本も同じで安倍首相が経済にずっと力点を置いているのはそこが良くなければ支持されることはないからです。日本が民主党の時、株安、円高で大変な思いをしたことが政権交代の直接的引き金でした。
トランプ大統領が次期大統領選で勝ち抜くには取りざたされるアメリカ景気のピークアウト感を払いのけ、株高、好景気のシナリオを少なくともあと1年9カ月ほど維持出来るかどうかが一つの分かれ目となりそうです。
2点目はアメリカの西部や都市部で進む民主化の声が一体感を生むものなのかどうか、ここにも注目しています。最近の民主化はかつてのそれとやや異質感があり、皆がバラバラ好き勝手することを権利の主張や人権擁護の観点にすり替えている気がします。ある意味、まとまりがないのが今の民主的アプローチであります。また、メディアが暗躍し、世論を牛耳ることに躍起になっている点もこの5-6年の特徴と言えそうです。
3点目は中間選挙で選ばれた多くの民主党の女性議員がどう活躍しているのか、であります。これはかつての都議選と同じで勢いで多くの新人が都民ファーストで当選したのと同様、アメリカ中間選挙の際にも消去法で民主党の女性新人議員が数多く生まれた、という見方があります。この新人議員さん達はその実力を見せないとガラスの天井どころか、2階の天井に頭をぶつけることになってしまいます。
そんな中、すでに次期大統領選に出馬する意向を固めているのは女性議員が多いようです。個人的には票が割れるとみています。たかが上院議員ぐらいではアメリカの大統領選は勝ち抜けません。もはやそんな単純明快な選挙戦ではなく、血みどろであらゆるテクニックを駆使しなくてはいけません。その点、トランプ大統領は圧倒的なシード権を持っています。
今後、どのような候補者が出てくるか分かりませんが、トランプ大統領を打ち破れる人は例えばトランプ氏と敵対関係にあるアマゾンのジェフ ベゾス氏とか女性となればミシェル オバマさんぐらいの知名度をもって勝負しないと難しいのではないでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年2月13日の記事より転載させていただきました。