米中閣僚級協議:目が離せない!あの行方はどうなる?

米中貿易戦争についてはこれまでに何度もお伝えしてきました。
その影響がじわじわと広がっています。

今年1月の最新貿易統計では、アメリカの中国からの輸入に関しては2. 4%減。一方で、アメリカから中国に対しての輸出は41. 2%と大きな減少になっています。両国で高関税を掛け合った結果、アメリカの方が輸出するチャンスを失ったという形になっています。

もちろん中国も大きな影響を受けていて、アメリカ向けスマートフォンなどの製造業が大きく落ち込み、景気の先行き不透明感から投資や消費に陰りが見えています。
こうした落ち込みは、中国に進出している日本企業や中国に輸出をしている日本企業にも当然影響があります。

昨年12月の貿易統計(速報・通関ベース)では、日本からの中国向け輸出は1兆4026億円で前年同月比7%減でした。

先ほど書いたように、中国でのスマホ製造数が減れば、日本からのスマホ用部品の輸出が減ります。また、スマホなど製造業に陰りが見えれば製造機器などの資本財輸出が減ります。その意味で今の日本経済は、輸出外需が減って内需で何とか持ちこたえている状態です。

昨年10-12月期の日本の実質国内総生産は前期比で0. 3%増、これ1年に換算すると1.4%増となっています。年1. 4%増という数字を見ると、まずまずに見えますが、実は『前期比』での話です。前期というのは7-9月期になりますが、前期は2. 6%減でした。
さて、7-9月期が2.6%減になったのはなぜでしょう。その答えは自然災害です。
昨年の7-9月期といえば北海道胆振東部地震、そして全国各地で台風被害が相次ぎました。北海道胆振東部地震では道内で停電が発生し、台風被害では関西国際空港にタンカーが衝突したことで空港閉鎖が続きました。
これらを要因として、国内での外飲食が減りましたし、野菜も高騰しました。また国内の状況によって訪日外国人客も減りました。そうした事が重なった次の期が10-12月期ですから、それが持ち直したということになるわけです。

我々の国内総生産の実に半分以上は私達の個人消費です。
ですから、当面の輸出は厳しい状況ですから、個人消費でどれだけ持ちこたえられるか、それが日本経済の行方を決めます。
さて、再び国際情勢に目を転じましょう。
2月末を期限とする米中貿易協議に残された時間はあと1週間ほどです。昨日21日から、米中閣僚協議がワシントンで始まりました。60日間延長するという説もありますが、仮に延長が決定しても関税がすぐ下がるわけではありません。米中貿易はしばらく停滞し、日本にも影響があるでしょう。もしも決別となったら世界は大混乱になる可能性があります。
この一週間は目が離せません。

※参照記事
2019.1.23    米中貿易戦争、それとも覇権争い?何れにしても一体どうなる?
2018.12.5    G20よりも、〇〇と〇〇の関係が気になる!
2018.9.20 【米中”貿易戦争”第3弾】どこまで続く?もうそろそろ限界か?
2018.8.24 【米中、貿易戦争・第3弾】ついに50%に。大丈夫か?
2018.3.28 【米中、貿易戦争・第2弾】知的財産権だけど、気づくの遅くね?
2018.3.6  トランプ大統領発の「貿易戦争」が、第3次世界大戦を引き起こす?

※実質国内総生産;一定期間に国内で生産された商品・サービスの合計額である国内総生産(GDP)を、基準年の価格で評価したもの。名目国内総生産(名目GDP)から物価の上昇・下落による影響を取り除いたもので、実質的な経済活動の規模を把握するために利用される。実質GDP。(デジタル大辞泉より)


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年2月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。