2月26日の記者会見で、東京新聞・望月衣塑子記者が「会見は何のためか」と質問したのに対し、菅義偉官房長官が「あなたに答える必要はない」と回答したことにより、記者クラブが多方面から集中砲火を浴びている。
今回の発端といわれるのは、昨年12月26日、辺野古埋立材などをめぐる両者のやり取りの2日後に官邸報道室長の上村秀紀氏が記者クラブ(内閣記者会)に出した文書。望月記者の質問のうち、「沖縄防衛局が実態把握できていない」「琉球セメントは県の調査を拒否」「埋め立ての現場では、これ、今、赤土が広がっております」などの部分が事実に反するか、適切な表現ではないとして、記者会見での質問のあり方に改めて申し入れをおこなったとされる。
これを受けて新聞労連は2月5日に「質問制限に抗議する」声明を発表し、東京新聞は20日に一連の問題を検証する記事を掲載、その紙面の表に対して菅氏が「両者の間のいくつかの重要なやり取りが掲載されていない」と反論するなどの応酬が続いていた。
26日のやり取りを全文書き起こしたITジャーナリスト・篠原修司氏によれば、望月記者は「前半で意見を伝え、後半で質問にしている」ため、「答えた場合、この意見を認めたうえで回答するかたち」になり、菅長官は「この場所は記者会見の質問を受ける場であり、意見を申し入れる場所ではありません」と応答したのではないかという。
だが、菅長官の発言を「言論の自由への弾圧」と捉える人々は反発。
「官房長官の応答を黙認した」として、批判の矛先は官邸記者クラブに向けられた。
一方、望月記者と共著を出しているニューヨーク・タイムズ前東京支局長のマーティン・ファクラー氏は、ジャーナリストの主体性のためにも「日本の記者クラブ制度をやめるべき」と主張し、
フリーランス記者などは(26日以前から)、記者クラブの「排他性」や「法的根拠のなさ」、「記者は国民の代表論と記者クラブの利権のつながり」などを指摘。
アゴラの池田による「これを契機に記者クラブを見直すべき」などのコメントもリツイートされていた。
津田大介氏らは官房長官による「記者への質問制限」の恐ろしさを訴えていたが、
会員以外を閉め出して無視する記者クラブより、反応するだけ「菅長官の方が誠実」という声も聞かれた。
なお、共産党の池内さおり前衆院議員が「全ての記者への攻撃!断じて許さない」と息巻いたものの…
志位委員長の会見で質問制約を課されてきた安積明子記者から、「断言しておくけど、共産党はこの件について官邸を一切批判できない」と返り討ちにあっていた。