「忘れる」という人間の能力

私は、どちらかと言うと記憶力の良い方ではありません。何回お会いしている方の顔もなかなか覚えられませんし、過去の記憶も曖昧になりがちです。

写真AC:編集部

以前お会いした人のことをまったく覚えていなくて失礼な対応をしてしまったり、大切な人との大切な約束や思い出を忘れてしまって気分を害してしまったことも珍しくありません。

しかし、そんな記憶力悪いことは、短所とばかりは言えません。実は「忘れる」ということは、むしろとても大切な能力だと思っています。

それは、過去に様々な辛い出来事があっても、忘れるという能力によって、その傷を早く癒すことができるからです。

もし記憶力が抜群で、過去の記憶が永遠に脳内で消えずに残ってしまえば、一度ついてしまった記憶の傷は、永遠に無くなる事はありません。

時間が経てば経つほど、過去の辛い記憶は消えていき、楽しかった事も思い出としておぼろげに記憶されるようになる。だから、失敗したり絶望することがあっても、時間をかけてまた立ち直り、生きていくことができるのです。

例えば、1年前には苦しみだったことが、今は平静に受け入れられるようになる。そして、いつしか苦い思い出として捉えられるようになる。そんな風に時間が解決してくれる事はたくさんあります。

だから今悩んでいることや辛いことがある人も、今は苦しいかもしれませんが、それは少しずつ時間が解決してくれる。そう希望を持つことです。

時間が少しずつ解決してくれるのであれば、焦ることはありません。時間が過ぎるのを静かに待つ。傷が完全に癒えることは無いかもしれませんが、忘れる力が少しづつ良い方向に導いてくれるのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年3月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。