「人に負けない」より「過去の自分に負けない」が大事

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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「○○に負けないように努力しろよ!」

ということを言う人がいます。私が小さい頃、学生時代なんかによく聞いたのがこのセリフです。私も昔は他者比較ばかりして、ずいぶんと苦しい思いをしてきました。もしもあなたが人との競争に疲れてしまったなら、今回の話は有益な気づきをご提供出来るかもしれません。

写真AC:編集部

「人より努力」という視点は不幸の始まり

「人に負けないように」と情熱を燃やして精一杯努力をする、というのは一見素晴らしいことのように思えます。社会に出るととにかく競争、競合他社や同僚は言わずもがな、人によっては友人だった相手に対しても「自分の方が優れている」とついつい競争の意識で、マウンティングする人もいるのです。

しかし、他者との競争にはキリがありません。もしもあなたが今の時点で日本一、世界一の優れた能力を持っている分野があったとしても、必ず追い抜かれる日がやってきます。人類は常に若い世代の方が優秀であり、いずれあなたを追い抜く若い世代が台頭してくることはほぼ確定事項だからです。過去記事にもそのことを書いています。

負けた瞬間に不幸になってしまう、そんな「他者に負けない」という思考は努力の源泉になるというポジティブな側面を持ちます。しかし、その一方で、気が休まらず、いずれ必ず敗北を喫するという結果を突きつけられることになります。

究極の幸せは自己実現欲求である

マズローの欲求段階説によると、自己実現欲求がもっとも高次な欲求とされています。自分が目指したいこと、やりたいことにフォーカスする成長意欲に突き動かされ、日々挑戦をするのがこのフェーズです。この欲求段階説は本当によくできていて、人生を生きていく上で最も幸福なのは「自己実現欲求」にいる人達だと思います。人生でもっとも難しいのは、お金を稼ぐことではなく、制度的な結婚をすることでもなく、「夢中になって取り組めるものを見つけること」だと思います。

確率的に考えてもそうです。お金を稼ぐことは、時間や人間関係、愛を捨てれば叶うことです。すべての時間を労働に当てれば、ほとんどの人はお金がなくて困るという「安全欲求」からは脱することができます。昨今は未婚率の高まりが問題になっていますが、相手を選ばなければ制度的意味としての結婚は極めて簡単です。

しかし、残りの人生のすべてをかけて取り組めるほど、熱く、夢中になれる人はほとんどいないのです。そもそも、そんなに熱い気持ちを持っていることや、夢中になって追いかけるものを見つけることも難しい…。そうなると自己実現欲求段にいる人達は、そんな夢中になれるものを見つけることができた人たちなわけで、究極の幸福を味わっているのだと思うのです。

知人で大学で研究をしている人がいます。結婚もせず、お金もなく、ただただ大好きな学術分野の研究をしているのですが、本人曰く、「今の自分の人生で最高の幸福は、好きな研究をして終わった後に鮭弁当を食べること」と言っていました。昇給しなくても、結婚ができなくても、別に問題ないというのです。彼は紛れもなく、自己実現欲求段階に達した一人の人間です。 

あなたの人生をあなたの思うままにいきる

自己実現欲求段階に達した人たちが見ているのは、自分中心の世界です。自分が好きなものを、他者の批判を気にせず、ただただ追求するという人生を生きるのです。この自己実現欲求の世界において、ライバルは不在、強いて言えばその人自身のみです。つまりは、日々成長を続ける「過去の自分」と競争しているわけです。

これは昨日より今日、今日より明日の自分が進歩し、追求する世界へ1歩ずつ進んでいく過程が楽しいと思える生き方です。他者の目などは気にしませんから、追い抜く追い抜かれるということに一喜一憂することもありません。他者をライバル視している間は、承認欲求段階に過ぎません。社会、経済、他者という鎖から開放され、自分の好きなものを追求するという自己実現欲求では、他者ではなく、過去の自分に負けないという、毎日が進歩し続ける楽しい生き方なのです。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。