日本は「アジアのポルトガル」になっていく

内藤 忍

総務省が発表した人口推計によると、昨年10月1日現在の外国人を含む総人口は、1年前に比べて26万3千人減少して、1億2644万3千人になりました。日本の人口は、8年連続で減少しており、減少率は0.21%と1950年以来で最大となったそうです。

さらに問題なのは年齢構成です。15歳未満の人口は全体の12.2%で過去最低。70歳以上は20.7%と過去最高になっています。その結果、15~64歳の生産年齢人口は、51万2千人減って、7545万1千人になりました。これは、総人口の59.7%で、1950年以来で最低の数字です。

人口全体が減少し、高齢者の比率が益々高まり、生産年齢人口は減っていく。日本という国がジワジワと衰退していくのが数字から裏付けられました。国が少子高齢化に対して対策を講じていますが、効果のあるものはほとんどありません。人口動態というのは、タンカーが方向を変えるように一旦動き始めると逆方向に切り替えるのは難しくなります。

日本は、このまま人口減少と少子高齢化の流れが続くということは確実です。

これは日本人のライフスタイルにどんな影響を与えるのでしょうか。

日本のマーケットが縮小していくということは、日本国内だけでしか通用しない仕事は、今後市場規模が縮小して成り立たなくなっていくということです。日本のビジネスパーソンも海外にマーケットを探して進出していかなければ成長は望めなくなります。

写真AC:編集部

また、海外から見ると日本のマーケット規模が縮小することは、進出するマーケットとしての魅力が小さくなることを意味します。日本語という参入障壁があり、マーケットが小さくなれば、例えばアジアに進出する企業は日本を避け、中国やフィリピンといったマーケットが大きく、成長期待のある市場を選択することになります。

海外の観光地の言語対応を見ると、以前は日本語が選択できる場所が多かったのが、最近は日本語サービスに対応する場所が減っているように思います。

人口が減少することは、世界の中での日本の存在感が薄くなっていくということ。将来の日本は、欧州におけるポルトガルのような、目立たない国になるのではないかと予想しています。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年4月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。