当てはまったら老害認定される5つの行為

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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最初にお断りしておきます。私は決して、老齢者をバカにするつもりはありません。豊富な人生経験に裏打ちされた、ロジカルで冷静、落ち着いた判断をする人が多く、私も多くの年上の方から教わり毎日自分をアップデートしています。特にお付き合いのあるメディア関係者の方はほとんどが年上で中高年の方です。皆さん、インテリジェンスを感じられる方ばかりで、尊敬していますし、私も多くの学びを頂いています。

しかし、世の中には「老害」と認定されても仕方がない、迷惑行為に及ぶ人たちがいます。今回は私が主観的に「老害」と認定する行為を取り上げます。

acworks/写真AC:編集部

相手の話は聞かない(99%は自分の話)

仕事で10代、20代の若者を採用して一緒に働くと感じるのは「ものすごく素直で、腰が低くて丁寧」ということです。2000年前後に「キレる17歳」という言葉が生まれ、若者の凶悪犯罪がクローズアップされた時もありました。

しかし、そのような「若者は怖い、未熟」という印象は全くありません。仕事は真面目にこなすし、責任感はあるし、協調性はあるし、とにかく人的に優れている若者が多いという個人的実感があります。こちらの話もしっかりとよく聞いて理解して仕事に臨んでくれます。

老害と呼ばれる人たちの行動は「相手の話は聞かない」ということが挙げられます。昔、私が人生の岐路に立ち、どう生きていいか悩んでいた事がありました。家族の紹介で高キャリアの高齢者男性とあったのですが、お会いして99%は相手の一方的な話でした。私はアドバイスを受ける前は「まずは自分の状況を正しく伝え、それに対する認識の誤りを是正して頂ける場になるのだろう」と思っていたのです。

しかし、こちらの状況をまったく伝える瞬間がなく、「人生はこう生きるもの」「オレはこうやってうまくいった」ということに終止して2時間が過ぎてお別れをしました。結論的には頂いたアドバイスは何も頭に残っていません。なぜなら、こちらの悩みを聞いてもらえなかったという不満が残り続け、相手の話が入ってこなかったからです。また、こちらが必要とする有益な情報でもありませんでした。

相手の話を聞かずに、自分のことを話し続けるのは、「自分は正しい」という根拠なき自信です。そして「自分の言うことは相手が100%聞いてくれる」という傲慢な姿勢によるものです。

価値観の押し付け

そして価値観を押し付けるのも、老害認定される行動の一つです。

人はみな、自分が好きなものを理解してもらいたいものです。もちろん、私も自分の価値観を理解してもらえると嬉しいと感じます。でも、それを相手に理解してもらえるかどうかはまた別の話です。相手が興味を持たなければ、サッと撤退するのが相手への配慮の姿勢なのです。しかし、それが出来なければ価値観の押しつけとなります。

前述した高齢者男性は「君はこういうところがダメだ。こうしなさい。本当にやったのかあとで確認するからね」という押し付けがありました。ダメ認定されるほど自分の状況を聞いてもらえていないので、そもそも相手の認識に誤りがあります(笑)。納得感のない話を「こうしなさい」と押し付けられると、真っ先に起こるのは拒絶反応です。当時の私は「なんでそんなことしないといけないのか!?」と憤りを感じてしまいました。

価値観の押しつけの背景には、やはり「自分は正しい」という思い込みが存在します。しかし、自分の価値観は万人に受け入れられるという視野狭窄に陥ることで、押しつけになってしまいます。

永遠に続く武勇伝

別の場所での出来事ですが、飲み会の場などでひたすら武勇伝に終止するオジサンがいます。最近も、そうしたオジサンに捕まってしまい、スキを見てうまく逃げおおせたという経験があります。

ある交流会の立食パーティーの際に、「自分はこういうビジネスをやっていて、こんなに稼いでいる。他の奴らは分かっていない」という話をずっとし続けてくるのです。会話とは言葉のキャッチボールだと信じて生きている私にとっては、初対面の人に自分の自慢を延々と続ける神経が理解できません。

おそらく、「ポジティブな話をしているから、聞いてもらえるだろう」「このいい話から学び取ってほしい」という免罪符があると思われます。しかし、同じエピソードを話すのでも、伝え方で相手の印象は全く異なります。

1.このビジネスでこのくらい稼げた。しかし、こういう点では損失を出してしまったので、これからやる人は同じ轍を踏むことのないように注意をしてほしい。

2.このビジネスでこのくらい稼いだ。オレはすごい!他の人はダメだ、なっていない。

老害認定されるのは2のパターンで、私がお会いした方も2の人でした。人は自慢話は聞かない、自慢話をするメリットはない。コピーライティングの世界における原理原則を理解していれば、自慢話をするのは人を遠ざけたい場合に限ることが分かります。同じ、うまくいった話をするなら、聞いている人が有益に感じる伝え方をするべきです。それが1のパターンです。

うまくいったこと、うまくいかなかったこと。それぞれの違い、データ、再現性について取り上げるなら、聞きたい人はたくさんいます。

老害認定される人は有益な話より、自慢話をしたい人です。

暴力的である

老害認定される人は概して暴力的です。それは実際に拳を振るうかどうかは別にして、会話にもその片鱗は見て取れます。

グループであるテーマについて話をしていても、

自分が話したい内容に舵取りをする。

人の話題をぶんどって自分のモノにする。

自分の立場を使って、相手を従わせる。

あらゆる行為に暴力性が見られます。年齢を重ねると感情を司る前頭葉が萎縮し、感情のコントロールが怪しくなると指摘する精神科医の先生を見たことがあります。年齢を重ねると、感情を抑えるのが難しくなるのは、生理的現象であり、ある程度は看過するべきポイントなのかもしれません。しかし、それを許せばどんどんエスカレートして人が離れて知ってしまいますから、自分を客観視し、感情のコントロールを維持する努力は必要なのではないでしょうか。

ついでに付け加えておくと、自分より弱い相手にのみ暴力性を発揮する、というのが老害認定される人の特徴です。

新しいものは否定

人は自分のなじみのないものを否定から入りがちです。これは心理学の世界で「コンフォートゾーン」と「ホメオスタシス」の概念で説明することができます。人間が本能的に持っている概念ですから、「新しいものを否定するのはダメ」と十把一絡げに私は言うつもりはありません。しかし、問題はそれを人に押し付けるケースです。

例えば「若者はダメだ。分かっていない」という言葉で若者を押し付けるケースなどが挙げられます。新入社員を「あの子」と半人前扱いをしていると、あっという間に抜かれてしまう可能性があるのが現代社会です。

私はビジネスや投資のコンサルティングサービスを利用していますが、いずれも教わっている相手は自分より年下の方です。ITや先端の技術についての情報力、経験値、先見の明のどれをとっても非常に優れた方たちで、心から尊敬しています。しかし、彼らの主張を批判する一派がおり、それは中高年の頭の方オジサンと相場が決まっています。

人は誰しも老化します。老化により、脳や体に変化が起こり、ライフスタイルや環境変化で柔軟な発想が難しくなるのはある程度避けられないことです。しかし、問題はそこで流されるままに頭を硬化するのではなく、勉強や努力によって老齢化による変化の流れに抗うという、自分を高める意識ではないでしょうか。

私は何歳になっても、今回取り上げた老害認定される行為は実行しないように心に留めたいと思っています。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。