今、エネルギーの地産地消が注目されています。
都市部の大企業に頼らず、地域の中でお金が循環する自給自足経済の形成を目的として、コミュニティに根ざした分散型再生可能エネルギー事業を形成する取り組みが各地でなされています。
シェア経済の中核をなすこのエネルギーシェアリングを、デジタル経済が加速します。
百聞は一見にしかずということで、昨日(2019年5月21日)、この分野で注目されている岩手県にある久慈バイオマスエネルギー株式会社様にお邪魔して、設備を見学し、日當社長からお話を伺わせて頂きました。
日當社長は当地の建材会社も経営し、地元の木質の流通に精通され、さらに東京大学農学部大学院で木質の活用方法を研究されたという経験と理論を併せ持つ素晴らしいご経歴で、だからこそこうした取り組みをビジネスマインドを持って遂行されたわけです。やはり日本の地方にも、中核的に事業をされるがいらっしゃるんだと心強く思いました。
久慈と言えば、NHKドラマあまちゃんの舞台で、東日本大震災の津波で甚大な被害を被ったところです。
同社はその津波による被災木や、久慈地域の木質未利用資源、それも安易に木材を使わず、敢えて扱いづらい樹皮(バーク)や製材端材、抜根など、お金を取って産業廃棄物業者が引き取るものをお金を払って原料としています。バークの破砕には大変な試行錯誤をされたそうです。
さらに、水分の多い燃料を乾燥して燃焼させるという日本初の革新的技術を商用化しています。
これをプラントに投入。ボイラーで燃焼します。
そこでは、温水・冷水・水蒸気が作り出され、隣接する久慈の名産、椎茸栽培工場に送られて利用されます。
このバイオマスエネルギープラントと椎茸栽培工場はIT化が進んでいる一方で、多くの従業員がいらっしゃり、地元の雇用拡大に役立っています。
それまで椎茸のビニールハウス栽培には大量の重油が使われていましたが、このバイオマスエネルギーの方が安いので、二酸化炭素の削減にも貢献し、椎茸製造のコストダウンにも繋がったといういいこと尽くめです。
日當社長が商用化に成功した要因は、飽くなき試行錯誤と徹底したリサイクルによるコスト削減です。椎茸は菌床に生えてくるのですが、その菌床は養分がなくなると廃棄していたのですが、この廃菌床も燃料として使用します。
捨てるとこなしの勿体無い精神には、脱帽しました。
日當社長の事業拡大には終わりがありません。ここで出来た燃料を久慈市内の学校・病院・老健施設・温水プールに搬送し、オンサイトで燃焼する計画を立てています。そこで、遠隔制御・監視のためにIoTの出番がやってきます。
私の会社、株式会社電力シェアリングではこうした再生可能エネルギーへのたゆまぬご努力をブロックチェーンを用いて定量化、見える化、共有化できるよう取り組んでいます。日當社長にもご賛同をいただきました。
デジタル経済の象徴的存在であるブロックチェーンを用いて地域主体のシェアエコノミーの実現に資するよう、こうした善意のネットワークをP2Pで構築していきたいと、気持ちを新たにしました。
株式会社電力シェアリング代表 酒井直樹
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