好きなニュースだけ配信される技術が普及してくると実は大きなニュースを取りこぼしている可能性がありませんか?最近、一部のネットで配信されるニュースに奇妙な偏りがあり、一般的ニュースソースに行くと「へぇ、こんなニュースがあったんだ」という発見をすることがあります。個人的には技術の進歩が視野を狭めるような気がしてなりません。例えるなら食べるものといえばカレー ハンバーグ スパゲティしか知らないようなそんな世界でしょうか?恐ろしや。
では今週のつぶやきです。
元気が戻った株式市場
ほっと一息、というところでしょうか?日経平均は週間で500円ほど上げチャート的には戻りを試す展開です。NYは月曜日安値から週間で1300ドルほど戻しており、覚醒したという表現が的確かもしれません。上昇したほぼすべての理由は利下げ期待と断言してよいでしょう。
金曜日に発表されたアメリカの5月度雇用統計は事前予想の18万人増をはるかに下回る7.5万人増にとどまりました。これでFRBは否が応でも金利引き下げに動かねばならないとみる向きが強くなり、株式、金、ドル以外の通貨に資金が回っています。EUも利上げを半年先送りとしました。欧米で取りざたされている金融緩和の理由はインフレ率が収まっているから、であります。
私がもう10年以上ずっと言い続けているのは過去2桁あったインフレ率は今の先進国ではまず起こりえず、インフレの沈静化は更に進むということ。日本がその最先端を行きましたが、欧米も必ずフォローします。欧州の一部や日本の長期国債はマイナス金利が当たり前。
ではなぜアメリカはそれでも2%もの金利がつくのかといえばイノベーションを伴う成長意欲が他国に比べて旺盛だから、と説明する以外になんと言えましょうか?逆に言えばアメリカが自由で開かれた国でなければ金利はどんどん下がる、つまり、老化するアメリカになりかねないともいえそうです。
英国新首相選び
メイ首相が保守党党首を辞任しました。これから本格的な次期党首、つまり首相選びが始まります。下馬評ではやはりボリス ジョンソン氏が圧倒的リードで2位にラーブ氏がつけていますが、双方とも離脱強硬派。特にジョンソン氏はトランプ氏に似たような自由奔放なところがあります。
仮にジョンソン氏が首相になった場合の私の期待度はかなり低く、イチかバチかの大勝負に出ると思います。メイ首相は粘り強さがありましたが、ジョンソン氏は全く粘りません。いやだと思ったらプイと横を向くでしょう。つまり、議会で離脱の賛否を問う出口なき議論となれば、彼は職を全うできないリスクはあります。
また、EU側との交渉もごり押しするはずですから交渉そのものが成立せず、合意なき離脱に突っ走るとみています。今の英国を見ているととことんまで行きつくしかないのかな、と思います。それでも英国民は文句を言いながらもプライドを持って新国家をまた築き上げていくでしょう。
ロンドン株式市場はずっと堅調ですし、ポンドの為替も2016年10月以降は比較的落ち着いています。つまり、英国離脱物語は二流の茶番劇でしかないのかもしれません。
出生者数91.8万人の衝撃
厚労省が発表した2018年度の出生者数は91.8万人、前年から2.8万人の減少です。これは率に直すと2.96%。メディアに紹介される統計が絶対数表示になっているので気がつきにくいのですが、減少率でみるとずいぶん下がっています。私がはじいた出産適齢期の人が子供を産む単純率は17年度が3.79%に対して18年度は3.73%に下がっています。合計特殊出生率も0.01%ポイント下がり、1.42となっています。
これをどう捉えるかです。多くの声は教育の無償化、子育て支援など通じて出産と就労の両立を掲げています。それは否定しませんが、個人的には根本の部分が違うと考えています。それらは出産を支援するものの出産そのものへの促進とは違う気がします。
このテーマはこのブログで何度も触れているとおり、宗教観や儒教的背景、家族の財産継承を通じたファミリーツリー形成思想の欠落、女性の社会進出による反動(アメリカも女性社会進出に伴い、出生率は下落した歴史があります)、戦争がなく平和になったことでより少ない子供への高いアテンション化など様々です。つまり、社会構造そのものが少子化に向かわせていると考えています。
私は出生率よりも出生の絶対数が減ることがもっと懸念される事態と思っています。数十年後には人口バランスを含め日本がサステナブルな社会を維持できなくなるリスクは頭に入れた方がよさそうです。
後記
最近北米で話題の食品といえばリアルの肉ではなく植物から作り出す人工肉をベースにしたものでその代表的企業であるBeyond Meatは上場後初の決算発表に於いて冴えない赤字決算ながら強い成長期待で1日にして4割近くも株価が跳ねました。大手食品のネッスルも同様製品の投入を発表しており、日本ではオイシックス ラ 大地がリーディング会社です。菜食主義者やさらに厳格なビーガンの人が増えていることを意味します。我々の生きる時代はあまりにも変革が早すぎ、常識観がどんどん崩れ去ります。驚きです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年6月8日の記事より転載させていただきました。