お金持ちの求めることは、お金持ちにしかわからない

クレディ・スイスによると、日本で100万ドル(約1.1億円)以上の資産を持つ富裕層は2018年から2023年にかけて34%増え、400万人近くになると予想されています。

成長分野である富裕層の資産運用ビジネスに進出しようとしている金融機関や事業会社はたくさんあります。しかし、ニーズに合った資産運用サービスが提供されているとは言えません。その理由は、富裕層が求めるサービスを勘違いしているからだと思います。

「お金持ちのことは、お金持ちにしかわからない」ということです。

富裕層を相手にする場合、押さえておかなければならないポイントがあるのです。

1. 富裕層は一般にはない特別な情報を求めている
富裕層は「特別扱い」が大好きです。お金で買えない価値、限られた人にしか提供されないサービスに満足度を高める傾向があります。資産運用においても、一般に販売されている金融商品だけでは、彼らのニーズを満たすことはできません。実物資産の「インナーサークル情報」こそ大きな価値を持つのです。

2. 富裕層は値上がり益(キャピタルゲイン)より安定した収入(インカムゲイン)を求めている
ある程度のまとまった資産を保有している人にとっては、それをさらに大きくしていくことより、守ることの方が重要です。株式投資で大きなリスクを取ったりする必要は無いのです。

それよりも、保有している資産を活用して、そこから不労所得を定期的に生み出すような仕組みの構築を求めている割合が高いと言えます。

3. 富裕層は資産全体のアセットアロケーションコンサルティングを求めている
富裕層は親からの相続財産として不動産や貴金属、会社などを受け継ぐことも多いのです。自らの金融資産とそのような実物資産をどのような比率で管理したら良いのか悩んでいる人は少なくありません。資産全体をまとめて管理運営し、それに対して的確なコンサルティングを提供するビジネスは日本国内にはまだほとんどありません。

金融機関が富裕層向けに、仕組債やファンドのような金融商品ばかり提供しても、ソリューションにはなりません。なぜなら、期待するような特別感もありませんし、インカムリターンよりもキャピタルゲインを狙う傾向になりがちで、資産全体を包括的に俯瞰(ふかん)して、アドバイスするようなサービスにもなっていないからです。

資産デザイン研究所が主宰する資産設計実践会は参加希望者が急増し、今週末から始まった第9期では110人の受講生が集まるまで、大きなコミュニティになりました(写真は週末に赤坂で開催した徹底合宿)。富裕層が日本で増えているだけではなく、彼らのニーズの受け皿となる資産運用サービスが、圧倒的に不足していることを実感します。

従来の金融サービスの延長では解決できない悩みや不案を解決するためのサービスを提供し、日本に生まれつつある新しいマーケットのフロンティアとして活動していきたいと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年6月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。