最近、慰安婦財団解散・自衛艦旗自粛要求・韓国議員団竹島上陸・徴用工賠償判決・レーダー照射・天皇謝罪要求・日本海改称要求・東日本水産物禁輸など、日本は韓国から不快な行為や理不尽な要求を一方的に受けています。
最近の日本と韓国の関係悪化の誘因はこれらの事案にありますが、その素因は、韓国の行動の意図が日本に対する【モラル・ハラスメント moral harassment】(=精神的嫌がらせ)にあることを多くの日本人が健全に認識したためと考えます。韓国(政府・御用メディア・洗脳された一部国民)は日本に対して、常に否定的な評価をし、絶えず批判し、世界からの孤立を目論み、偽情報を流布して中傷しています。このような行動に対してさすがに多くの日本国民は疲弊し、韓国から離れる(敵対するのでなく)ことを望んでいます。
そんな中、相変わらず韓国の主張に強く同調し、韓国に謝罪するよう日本国民に強く訴えかけているのが我らが鳩山由紀夫元首相です。論理を欠いた仰天発言はますますエスカレートするばかりであり、明らかに「他国第一」=「友愛」と混同しています。この記事では関連する鳩山氏の代表的な発言を挙げて分析してみたいと思います。
モラル・ハラスメント
【ハラスメント harassment】とは、不快な行動を伴いながら、個人や集団に対する、恨みのこもった、残忍な、悪意に満ちたあるいは侮蔑的な手段を用いて、他人の価値を貶めようとする行為であり、このうちモラル・ハラスメントとは、複数の加害者が被害者に対して、常に否定的な評価をする、絶えず批判する、孤立させる、被害者に関する偽情報を流布して中傷するなどの精神的なハラスメントを言います(ILO, 1998)。もっぱら、何でもかんでも「日本が悪い」とする韓国や、何でもかんでも「アベが悪い」とするアベノセイダーズ(特定野党・特定マスメディアを含む)の行動は、モラル・ハラスメントの典型例と言えます。
モラル・ハラスメントの概念を提唱した精神科医であるマリー=フランス・イルゴイエンヌ氏はモラル・ハラスメントの加害者の精神的特徴を次のように説明しています(文献)。
モラル・ハラスメントの加害者は、相手を精神的に傷つけて貶めることによって自分は偉いと感じ、自分の心の中の葛藤から目を背ける。うまくいかないことはすべて他の人の責任にして、自分のことは考えなくても済むようにする。「私には責任がない。悪いのは相手の方だ」と考える。罪悪感もなければ、精神的な葛藤から来る苦しみも感じない。加害者はいつでも加害者である。その方法でしか他者との関係を作れない。
自分が何かに参加して、起こったことに責任を感じなければならなくなった状況では、必ず誰かを巧みに攻撃してその人間に責任を押し付ける。責任を感じて自分を見直すことには耐えられないからだ。他人を破壊し、貶めることによってしか生きていくことができない。他人に対する評価を下げることができれば、自分が優れた人間だと感じることができる。他人から称賛されるのを渇望している。その反対に他人に対する尊敬や同情を感じたことがない。もともと他人を人間とは認めていない。
韓国やアベノセイダーズが合理的な根拠もなく強引に「日本が悪い」「アベが悪い」と絶えず言い続けるのは、モラル・ハラスメントにおいて常套的に用いられる【スケイプゴート化 scapegoating】に他なりません。また、彼らの行動がしばしば尊大に感じられるのは、「自分は偉い」「自分は優れた人間である」と考える【虚栄心 conceit】の表れの可能性が高いと言えます。さらに、彼らの言動に【ダブル・スタンダード double standard】が多くいつもブーメランが突き刺さるのは自分を見失っていることの証左です。結局は、他人を破壊し、貶めることによってしか生きていくことができないというイルゴイエンヌ氏の精神分析に帰着します。
韓国のモラハラへの加担
2015年末の慰安婦合意によって、日本に対するモラル・ハラスメントの格好のネタを失った韓国は、慰安婦財団解散・自衛艦旗自粛要求・韓国議員団竹島上陸・徴用工賠償判決・レーダー照射・天皇謝罪要求・日本海改称要求・東日本水産物禁輸など、次々と新たなハラスメントのネタを模索してきましたが、どれも簡単に論破できる常軌を逸した不合理な内容です。
そんな韓国に対して積極的に同調し、日本へのモラル・ハラスメントに積極的に加担しているのが、鳩山由紀夫元首相です。一般に精神的イジメともいえるモラル・ハラスメントにおいては、同調者の存在によって加害者がさらに増長し、ハラスメントの強度を上げていくこともしばしばです。ハラスメントの加担者は単なるハラスメントの協力者ではなく、ハラスメントの加害者そのものなのです。
日本の元首相という肩書を持つ鳩山氏の同調は、韓国にとっては国内外に対する【権威論証 appeal to authority】にも利用でき、願ったり叶ったりの状況であると言えます。以下、主要な【紛争議題 dispute】に関する鳩山氏の発言を具体的に分析していきます。
■慰安婦問題
鳩山氏:日本政府が「最終的かつ不可逆的」という表現を使ったが、韓国国民にこれ以上問題を提起してはいけないと言うような高圧的な態度だった。日本は慰安婦問題について謝罪し続けなければならない。私は日本が無限責任を負うという心構えで韓国に接するべきだと考えている。
これ以上問題を提起しないという意味の「最終的かつ不可逆的」な合意を韓国が踏みにじるように次々と合意違反を起こす中、日本の言論がそれらの合意違反を指摘したことを鳩山氏は「高圧的な態度」として断罪しました。合意違反の指摘は合意を交わした当事者の当然の権利であり、これを批判することは論理破綻に他なりません。またそれ以上に、慰安婦問題に対して誠意ある行動で合意に達した日本が無限責任を負って謝罪し続けなければならないというのは言語道断のモラル・ハラスメントです。
仮に日本の国が慰安婦問題の加害者であるとして、その加害の責任があるのは国の意思を決定していた当時の有権者ということになります。現在生存しているほとんどの日本人は戦時中に参政権を持たない未成年あるいは当時この世に存在しなかった世代であり、戦時中の慰安婦問題についてはまったく責任がありません。韓国や鳩山氏が子孫に謝罪を強要することは、極めて卑劣な国民差別と言えます。鳩山氏は、犯罪者の子は犯罪者と言っているのに他ならないのです。
さらに日本人の子孫が無限に謝罪し続けることも不可能です。謝罪する相手がいなくなるためです。慰安婦問題の極めて大きな問題点は、本来謝罪する必要もない現在の日本人に対して、本来謝罪を受ける資格もない現在の韓国人が「謝罪が足らない」と謝罪を要求し続けている点です。これはモラル・ハラスメントに他なりません。
■竹島問題
鳩山氏:竹島の日を契機に日韓関係がこじれている。私たちは歴史の事実を見る勇気を持つべきだ。日本が受け入れたポツダム宣言により、竹島などの島々の帰属は連合国、事実上米国が決めることになった。米国は2008年に竹島は韓国領と決めた。当時の町村官房長官は文句を言わなかった。この責任は大きい。日本は、主権が及ぶ領土を『本州、北海道、四国、九州』としたポツダム宣言を受諾した。(竹島は)日本固有の領土と言えないことは明らかだ。
米政府機関の地名委員会が2008年、データベース上の帰属先を「韓国」から「主権未指定」に変更した後、再び「韓国」に戻したことを根拠にして、米国は2008年に竹島は韓国領と決めたと主張する鳩山氏です。もちろんこのことが、島根県竹島は韓国領であるという証明にはなりませんが、2009年に誕生した鳩山首相が個人的に竹島を韓国領と認識していたことは極めて恐ろしいことであり、国民に対する背信行為であったと言えます。ちなみに鳩山氏は2009年に「日本列島は日本だけの所有物ではない」と宣言しています。
当時鳩山氏は「これは大きなテーマ、まさに愛のテーマだ。友愛と言っている原点が底にあるからだ。地球は生きとし生ける全ての者のモノだ」と語りました。このような自説についての常軌を逸した【自己宣伝 self-promotion】は、自分が優れた人間だと考えているモラル・ハラスメントの加害者の特徴とよく一致します。
■徴用工問題
鳩山氏:韓国最高裁の徴用工の判決について河野太郎日本外相などが非難発言を繰り返しているが、韓日請求権協定によって(賠償問題が)『完全かつ最終的に』解決されたわけではない。日本は確定判決文の賠償に応じる一方、韓国は訴訟を起こしていない被害者に対して財団を作って救済するやり方で、具体的な解決を図るべきだ。
日韓請求権協定という歴然たる国家間の協定が存在するにも拘らず、「私には責任がない。悪いのは相手の方だ」と考えて日本に無理矢理責任を押し付けるのもモラル・ハラスメントの加害者の特徴と一致します。何の民意の裏付けもない民間人が、既に莫大な賠償をしている日本国民に対してさらに血税を差し出すよう当然のように要求している状況は悪夢としか思えません。なお、当然のことながら、日本が賠償をする場合には、韓国は経済協力金や残留資産を日本に返還する必要が生じます。これはあり得ない話です。
■レーダー照射問題
鳩山氏:レーダー照射は、危険だと大騒ぎする話ではない。問題は、冷静さを失い、好戦的な雰囲気に一気に傾く日本の世論にあるようだ。
こめかみに銃口を当てられているにもかかわららず大騒ぎする話ではないと言っているのと同値です。他人である自衛隊員に対する尊敬や同情を感じることがなく、自衛隊員を人間とは思わないのは、モラル・ハラスメントの加害者の特徴と一致します。友愛が聞いて呆れます。
■天皇謝罪要求問題
鳩山氏:新天皇が韓国国民の歓迎を受け、訪韓する機会が生まれることを望む。
鳩山氏は、天皇在位中の上皇陛下を「彼は戦争犯罪の主犯の息子じゃないか(Isn’t he the son of the main culprit of war crimes?)」と表現して謝罪を求めた文喜相国会議長の発言を受け、今上陛下に韓国訪問を促しました。そもそも文議長の発言は、血縁を根拠に責任を科す【出自に訴える論証 appeal to origin / genetic fallacy】による血縁差別です。鳩山氏は、このようなハラスメントを遥に超えたヘイトスピーチに陛下が応えるべきであると発言したのです。
自己呈示と自己実現
韓国発のモラル・ハラスメントに同調する鳩山氏の発言には、モラル・ハラスメントの加害者の精神的特徴がよく現れていました。ただし、同調の主たる動機が、韓国のような他者に対する攻撃性であると考えるのは必ずしも正しくないように思います。鳩山氏には日本政府を攻撃する動機はあっても日本国民を攻撃する動機はないと考えられるからです。そもそも裕福な家庭で上品に育った鳩山氏は攻撃的な人物でないことは自明です。
それではその動機は何かといえば、一つには【自己呈示 self-presentation】が考えられます。鳩山氏の発言は、明らかに100%韓国人とともにある発言であることは間違いありません。なぜそのような発言をするかと言えば、韓国人への【取り入り Ingratiation】を目的にしていることは自明です。
民主党政権の失敗で日本ではだれも相手にしてくれなくなった鳩山氏が、政権交代時と同じように輝ける場所と言えば東アジアしかありません。東アジア共同体は「友愛」の提唱者でEUの父とも呼ばれるリヒャルト・クーデンホーフ=カレルギー氏に影響を受けている鳩山氏にとって人生の究極の目的であり、この個人的な【自己実現 self-actualization】のためには中韓に取り入るしかないのです。
一方、中韓にとっては、自分達に都合のよいことを話すと同時に元首相という肩書を持つ鳩山氏は、対日のプロパガンダ活動に利用価値が高い究極の人物であると言えます。ここに両者の思惑が一致し、現在のような固い絆で結ばれた友好関係が構築されたものと考えられます。
ただし、東アジア共同体においては、全体主義国家の中国と怨恨国家の韓国が運営を主導しようとするのは必至であり、日本の自由と民主主義にはマイナスな構想であることは自明です。そもそもカレルギー氏の「友愛」は、中国のような全体主義国家に抗する概念であり、韓国のような怨恨国家に反する概念です。また、鳩山氏が中韓と友好関係を結ぼうと働きかける一方で、自由と民主主義の米国を東アジアから排除しようとするのも大きな矛盾です。
鳩山氏の真意は鳩山氏にしかわかりませんが、その自己呈示と自己実現のために日本国民に対するモラル・ハラスメントを正当化しているとしたら、たまったものではありません(笑)
編集部より:この記事は「マスメディア報道のメソドロジー」2019年6月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はマスメディア報道のメソドロジーをご覧ください。