「牛角へデートに行く男は貧乏人」という婚活アドバイスは正しいのか?

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
■Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

フォロワー数3万人を超える婚活コンサルの発言が、大きな話題を呼びました。

知り合った男性の年収や器を知るために、焼肉屋へ連れて行ってもらおう。
行ったお店が牛角なら、その男性は貧乏人だ。
一人6,000~8,000円で食べれる希少部位肉のお店なら合格。

というものです(批判するつもりはないので、ツイートの引用はしません)。婚活コンサルの発言について思うところを書いておこうと思います。

※画像はイメージです(クランキー/写真AC=編集部)

Twitterでもつぶやきます。

婚活コンサルの発言の2つの問題点

このツイートを見た私は、2つの点について問題があると感じました。

まず1つ目は「牛角」へ食べに行くのは貧乏人なのか?という判断の妥当性についてです。

私も昔、品川の牛角に何度かお世話になった経験があります。普通に食べて3,000円程度、ガッツリ食べて4,000円程度と言えるのではないでしょうか。3,000円、4,000円は外食としては特別安すぎるとは思えない金額であり、一人で外食をする人の多くは、おそらくこの金額に届くことはあまりないのではないでしょうか。

また、牛肉を食べるという事を考えても、「牛角へ行く事は、すかさず相手と縁切りしたくなるほどの選択か?」と問われると、食事内容やお店の雰囲気を考えるとそうとは感じません。同時にこの婚活コンサルの言うように「誰かと牛肉を食べるというなら、一人6,000-8,000円はかけるのがマナーである」という不文律の存在も感じた事はありません。

よって、この婚活コンサルのアドバイスは、個人的意見が非常に色濃く反映されたものでしかなく、デートをする上で必ずしも相手を喜ばせる「接待の効果の高いアドバイス」にはなっていない可能性があります。

そしてもう1つの問題は差し出す金銭の多寡だけで、相手を採点しようというのは傲慢に感じる姿勢です。世の中は未だに時代錯誤なパワーバランス感の持ち主を見ることがあります。たとえば面接をする会社は、面接に来る人より立場が上である錯覚をしてしまいがちですが、本来は対等であって然るべきではないでしょうか。「会社側が立場が上で、上から目線で相手に厳しく点数を付ける」というものではないはずです。

それと同じで、デートも男性・女性どちらが立場が上ということはなく、ましてや今回は「これから付き合うかも知れない」という距離感を測りかねている段階から傲慢な姿勢で臨んでは良い心象を与えることはないと思うのです。個人的には、それをアドバイスとして発信する事に疑問を感じてしまいました。

婚活コンサルの仕事は個別具体的であるべき

一般的な「コンサル」と認識される仕事は、その人の特性、立場、属性などを鑑みて個別具体的に本人にマッチしたアドバイスが出来る専門性が必要だと考えます。

今回のケースでは婚活を成功裏に導く、という重要な役割を担っているのですから本来のアドバイスは「あなたは◯◯という魅力があるのに、相手の女性にうまく伝わっていないからこうしたほうが良いのではないか?」といった、一人ひとり相手にあったものであるべきと感じるのです。

しかしながら、今回のアドバイスは「こういう場合は、こうするべきである」という個人的見解をさも、不特定多数の相手に適切にアプライ出来るような言い方で発信している点が問題に感じます。

世の中にはすでに山ほど「ノウハウ情報」は出回っているわけですから、専門家としての立場と経験、知見を活用するならば具体的にうまくいった事例を取り上げて、ケーススタディとして解説をする方が情報を受け取る側にメリットがあると思いますし、それこそ専門家がやるべきで、専門家しかできないことです。

「デートの時には日常感のあるお店より、特別感のあるお店を選ぶと喜ばれます」、たとえばこのようにググって1秒で出てくるような話をするというだけでは「コンサルタント」という仕事としては少々物足りなさを感じてしまいます。

「牛角へ行く人=貧乏人」ではない

牛角ロゴより:編集部

まったく自慢している気はないのですが、私は起業して社会人をやっていた時に比べて、経済的に余裕が生まれました。しかし、だからといって特別豪遊する気はまったくなく、今でも奥さんとディナーに行く時は一人4,000円以内のお店へ行くこともよくあります。

体験レポ:分娩数日本一の熊本福田病院は「妊婦の5つ星ホテル」」という記事で詳しく書いたのですが、5,000円以下で2万円のフレンチフルコースよりおいしく、充実した食事を提供してくれるお店もあるので、雰囲気や料理の質が十分満足できるなら、無理してい高いお店に行く必要性を感じません。

また、古い友人と再会した時なども、牛角を利用することがあります。旧交を温める上で、牛角が不適切なディナーのお店とは思えないからです。知人で不動産の物件をいくつも持っていたり、トレーダーをやっている人がいますが、牛角と同等の食事内容、金額のお店で食事をすることも何度もありましたが、特別おかしな感覚を覚えた記憶もありません。「貧乏でない人も、牛角にはいく」のです。

この婚活コンサルの発言は、広く多くの人に当てはまる有益な情報というより、単なる個人的な感想を、傲慢な姿勢で発信したことが問題だったかと感じました。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。