12年ぶりの高値でも、REITに投資しない理由

不動産投資信託(REIT)が値上がりしています。日本経済新聞によると、代表的なインデックス(指数)である東証REIT指数は、リーマンショック前の2007年8月以来、約12年ぶりの高値水準に達しました(図表も同紙から)。

国内のREITの予想分配金利回り(加重平均)は約3.6%と株式の配当利回りや債券金利よりも高く、安定したインカムゲイン(家賃収入)を見越した資金が流入しています。しかし、私はREITに投資しようとは思いません。1年前にも書きましたが、その理由は次の3つです。

<理由1>高値で投資する構造的な仕組みになっている

REITに入ってきた資金は、その時点で良いと判断された物件に投資していきます。つまり投資タイミングが、投資家の資金流入によって左右されるということです。

一般的に、REITの価格が上昇してくると、資金流入が増加します。高値だとわかっていても、流入資金で物件を組み入れざるを得ないのです。上がれば、お金が入ってきて、更に買わなければならないという構造的な問題があるのです。

<理由2>レバレッジを考えると、それほど高利回りではない

REITは投資家の資金とほぼ同額の金融機関から借入で運用しています。2倍程度のレバレッジがかかっているということは、1000万円の投資資金で、2000万円の投資をしているのと同じです。ネット利回り4%程度の都心中古ワンルームマンションを同じように運用すれば、借入コストが2%としても5%以上の利回りになります。現物不動産と比較すると、高利回りとはいえません。

<理由3>タックスメリットが現物不動産より小さい

相続税の課税対象額に関して、REITは金融商品ですから時価の100%が課税対象です。一方、実物不動産は都心の不動産であれば、3分の1、場合によっては5分の1程度まで圧縮できます。

確かに、REITには、NISAやイデコの活用による、税制優遇があります。しかし、減価償却のメリットも無く、トータルに考えると税メリットは小さいといえます。

都心中古ワンルームへの投資は、お金を借りられる人なら、頭金10万円から投資できます。キャッシュのある人は、現金購入することも可能です。

上記のような理由から、私は保有していたREITは全て売却し、全て現物不動産で運用しています。家族や大切な友人にも、都心中古ワンルームへの投資を薦めています。

現物不動産がREITと比較して劣っているのは、金融商品ではないので流動性に劣ることです。しかし、都心中古ワンルームなら、一週間程度で売却できます。REITのような金融商品ほどではありませんが、流動性としては問題ないレベルです。

REITも今後更に金利低下と賃料の上昇の恩恵を受けて上昇するかもしれません。しかし、どうせ不動産に投資するのであれば、私はREITではなく現物不動産を選択します。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年9月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。