こんにちは、都議会議員の鈴木邦和です。先週IOC委員長が都知事に説明した資料(マラソン開催地変更の根拠)が昨日都議会に共有されたのですが、、
私も資料を全て読みましたが、IOCが気温(暑さ)以外に示した札幌開催の根拠はありませんでした(資料全文はこちら「20191028_IOCコーツ委員長_資料」)。
私の方で資料に記載されているIOCの主張を紐解きますと、以下の2点に集約されます。
①先月のドーハの世界陸上では多くの選手が暑さで途中棄権した。東京はドーハと暑さ指数が近い一方で、札幌は東京より平均気温が低いので望ましい。
②東京で開始時間を早めても意味がない。真夜中に誰もいない路上をアスリートに走らせることになる上に、日の出前ではヘリを飛ばしてレースを取材できないため良い画が撮れない。
要するに、札幌開催の根拠は東京よりも気温が低いというだけで、運営や警備など気温以外の条件について、IOCは一切考慮していません。また、東京で開始時間を変更できない理由は、結局テレビ中継の問題であって、アスリートファーストとはほとんど関係がありません。
五輪のマラソン・競歩大会を開催する上で、気温以外にも様々な条件を考慮しなければならないことは、すでに多くのメディアでも指摘されています。特に通常3年近く準備を要するマラソン大会では、警備や運営が物理的に間に合わない可能性もあります。
また、マラソン大会の開始時間は、米テレビの放送時間に大きく影響を受けています。IOCの最大のスポンサーは、米放送大手のNBCユニバーサルであり、2032年までの五輪の放映権としてIOCは約8500億円を同社から受け取っています。IOCの実態は、アスリートファーストではなく、スポンサーファーストと云っても過言ではありません。
しかも、IOCが提案した札幌開催への変更に伴う費用については、当事者であるIOCは一切負担する気がなく、実質的に東京都が負担すべきとまで主張しています。こうしたIOCの強硬なやり方について、都民やメディアからも反対の声が広がっており、JX通信社による最新の世論調査では、ついに札幌案反対が賛成を上回りました。
昨日、都議会では全会派一致で、IOCに対する決議書を取りまとめました。本日、都議会の議長がIOC、組織委員会に対して、札幌開催案の経緯と根拠を明確にするよう求める予定です。今月末の最終決定に向けて、都議会も一丸となってIOCに働きかけていきます。
編集部より:この記事は東京都議会議員、鈴木邦和氏(武蔵野市選出、都民ファーストの会)のブログ2019年10月29日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は鈴木氏のブログをご覧ください。