こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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現代ビジネスに興味深い記事が出ていました。「若者の大企業離れ」というものです。記事に取り上げられていた事例としては、Timee(タイミー)という「すぐに人手が必要」という企業と「スキマ時間に働きたい」という人をマッチングさせるアプリがあり、その創業者は若干22歳とのことです。
彼のような若者をはじめ、最近の若者は「大企業より、挑戦できるベンチャー」へという流れができていると述べています。
結論を言えば、若者全員が大企業離れを起こしているのではなく、「働き方の多様化」によって、これまでと違った意見が出てきた現象であると個人的に感じます。
今でも大企業志望の学生は多い
マイナビが行った「2019年卒大学生就職意識調査」によると、次のような結果があります。
大手企業志向(「絶対に大手企業がよい」+「自分のやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」の合計)については前年を1.7pt上回る54.5%と、さらに上昇している。
確かにタイミー創業のように、起業家気質の学生が出てきましたし、フリーランスを望む若者もいます。しかし、若者のマジョリティは安定性を希望する人が依然として多いのもデータから明らかになっています。
昔は今ほど職業の選択の幅がありませんでしたから、「大手企業で働く」ということがステータスとなっていました。が、現在は働き方は実に多様です。私が運営している英語のオンライン多読講座の受講生の中には、アメリカのGAFAに内定を得て、世界の大企業を練り歩くエンジニアを目指す現役大学院生もいるのです。
今も昔も、そしてこれからも大企業・公務員という安定志向を持つ人は一定数存在しますから、「大企業離れ!」は一部において起こっている現象と考えるのが良さそうです。
大企業の安定性神話は崩壊した
とはいえ、大企業の安定性神話は、すでに若者の間でも崩壊していると考えます。
私は数社の大企業の会社員で働いた経験がありますが、今ではその企業でも45歳以上の社員の早期退職制度が敢行されているようです。企業のビジネスが存続する寿命は20年前、10年前より短くなっており、大企業もいつ倒産するかなんて誰にもわかりません。記憶に新しいのはアメリカのトイザらスの事例です。50億ドルの負債を抱え、2017年9月に連邦破産法11条の適用を申請しています。かつては800店舗も有した玩具界の巨人も姿を消してしまうスピード破綻の時代です。
このようなニュースが出てくると、「大企業だからと安定性は保証されていない」と思う人が出てくるのは不思議ではありません。
いつの時代も「絶対」は絶対ない
これは会社経営に限った話ではないのですが、いつの時代も「絶対」というものは絶対にないと考えます。絶対確実なのは、「形あるものは必ずなくなる」という普遍の真理だけです。
そうした真理を踏まえて、寿命をまっとうするまで生き続けるには「絶対」という砂上の楼閣を求めるのではなく、時代への変化に対応する力です。若者の中には「大企業ではなく、個人で稼ぐ力をつけたい」や「成長できるベンチャーで多くの学びを得たい」という人が現れ始めているのは良い傾向だと思います。
もちろん、大企業に入ることがダメだというわけではありません。私も大企業の充実した福利厚生や研修制度には、随分お世話になったので、それについては今でも感謝しています。しかし、一部の若者の中には「大企業だけじゃないよね」という考えを持った人が出てくることこそが、まさに「時代の変化への対応」と見ることができますから好ましい傾向だと個人的には考えています。
「大企業離れ」というより「安定神話離れ」といってもいいかもしれませんね。
黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表
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