東大卒では経済的勝者にはなれないという「不愉快な現実」

内藤 忍

一風変った不動産投資の本を読みました。「東大生を待ち受ける不愉快な現実とそれを乗り越えるために必要なこと」と言うタイトルからして、ユニークな一冊です。

写真AC

東大卒の一流企業サラリーマンだった著者が、仕事で思い通りの成果を出せず、最終的に不動産投資家に変わり、サラリーマン時代以上の年収を稼ぐようになる。そんな「不愉快な現実」を息子のために書いた本だそうです。

不動産投資のノウハウ本としても参考になりましたが、面白いのは自分自身のサラリーマン人生を分析して振り返っている部分です。

今はどうなのかはわかりませんが、かつては東大卒であれば、大手の民間企業にはそれほど苦労せずに入社することができました。サラリーマンとしては優遇されるポジションにいられたのです。

確かに、東大卒の人は理解力が高い人が多く、与えられた問題を前例に従って時間内に解決する能力は高いと言えます。

しかし、人を馬鹿にするようなところがあったり、コミュニケーション能力に問題がある人も多く、敵を作りやすく、サラリーマンとしては成功しにくいとも言えます。

結局、一生懸命受験勉強して、東大に入っても、サラリーマンをやっている限り、それ以外の要因によって会社でのポジションが決まってしまう。これが現実です。

入社時のメリットはあっても、東大のような有名大学に入って卒業することと、会社で出世することとは、あまり相関は無いのです。

そしてサラリーマンをやめて投資家になると、更に学歴は経済的な成功と全く関係が無くなります。

投資の理論はそれほど難しいことではなく、誰でも少し勉強すればマスターできます。それよりも、リスクを取る勇気や、インナーサークル情報の収集能力などの方が重要です。

一流企業に労働者として働くより、自分で投資家として仕事をする方が、努力や才能に関係なく経済的な勝者になりやすい。

こうなってくると、経済的成功に東大の学歴価値はほとんど無いことがわかります。

この本のテーマは、不動産投資のノウハウに留まらず、資本家と労働者の違いという、意外にもっと深いところにあると感じました。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年1月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。