それは健常者にも障害者にも伝えたい思いです。ALSという重度の障害者でも周りの方々とテクノロジーのサポートがあれば、普通に人間らしい生活ができるのです。その一方で、障害者の世界には綺麗事では済まないこともたくさんあります。そのことも伝える必要があります。
私は日本一恵まれたALS患者だと思っています。家族と共に過ごしながら24時間365日完全他人介護を実現し、生きがいである仕事も株式会社まんまる笑店の代表取締役社長として続けています。しかし此処にたどり着くまでの道のりは、私も家族も介助者も想像を絶する苦労の連続でした。誰一人欠けても体制は崩壊する状態をチームで支えて来ました。日本一恵まれた環境は決して自然に出来たものではありません。
今、私のところにボランティア3名と看護学生5名が見学とケア体験に来ています。昨年12月には元ボランティアが重度訪問介護の資格を取得してヘルパーデビューを果たしました。その方は介護の経験は全くない方でした。現在来ている8名の大半も資格取得に意欲を見せています。
最近私と妻の共通の先輩から次のようなメッセージをいただきました。
ALS患者でない人間には他人事なんだけど、「恩田聖敬」を他人事にできない人は多いんじゃないかな?うんうん。
私はこの言葉を謹んで鵜呑みにします。私がALS患者の喜怒哀楽を講演、ブログ、YouTubeで曝け出します。それを恩田聖敬を他人事に出来ない人に見てもらいます。聞いてもらいます。
その方たちの他人事に出来ない思いは、私と関わることでいつしか自然にALS、障害者へと波及していくはずです。時間はかかるかもしれませんが、これこそが今の私に出来る等身大の社会貢献です。
そう信じて今後もあらゆる手段で発信を続けます!
恩田 聖敬
この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ元社長)のブログ「ALSと共に生きる恩田聖敬のブログ」2020年1月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。