新型肺炎を巡る報道が今週も多かったと思いますが過度な報道による「あおり運転」にも気を付けなくてはいけないと感じます。もちろん、重要なニュースではありますが、人間の心理に不安感を与えるほどの状態は行き過ぎに感じます。海外ではもう少し冷静に捉えていますし、私はさほど遠くないうちに収まるとみています。楽観的といわれるかもしれませんが、世界の行政が施している封じ込め対策は功を奏すると信じています。
では今週のつぶやきです。
株価はともかく経済のテコ入れはこれから
地政学的に新型肺炎から遠いアメリカの株価の回復ぶりには目を見張りましたが春節明けの中国市場も下げ渋ったことで日本の慌てふためく株式市場がやけに目立った形となりました。さて、これから着目すべきは実態経済と企業経営への影響でしょう。航空会社はキャンセルが相次ぎ、人の移動は減少、中国の工場の稼働、消費の回復には時間がかかりそうです。その場合、日本企業にも大きなしわ寄せがくる可能性があります。
中国はこれに対して市場への27兆円もの資金供給を行ったほか利下げを視野に入れています。アメリカ、カナダなど利下げ余地があるところも経済情勢次第ではそのオプションを探っています。ただ、日本は利下げの余地があまりなく、企業業績にダメージがあった場合の対策の取り方が難しくなるかもしれません。
オリンピックを控え、経済のファンダメンタルズは悪くなかったはずですが、今回のような突発的事象が起きた場合、日銀の対応できる手段が限られる状態にあるのは不安を感じます。日本の金融政策は本当に危機対応ができるのか、今回、再検証してみるのもよいのかと思います。
安倍首相は本当に大丈夫か?
国会の質疑を見ていると安倍首相の賞味期限を考えざるを得ないのか、と思うようになってきました。この数年、国会では首相を巡る様々な話題で与党の防戦が目立っており、前向きな国政やアベノミクスのような経済対策、更には自身が掲げていた憲法改正論議などはほとんど進んでいません。
専門家の見方にはオリンピック終了後の秋に解散説があるのですが、そこで首相を降りるというシナリオも無きにしも非ず、のようです。確かに残りの任期を考えると潔いのかもしれません。ただ、今、自民党総裁選挙をすれば岸田氏がどれだけサポートされるかはその世界独特の駆け引きで決まります。石破氏が飛び出してくる公算も大いにあり、微妙なところで「辞めるに辞められない」ともいえます。
正確な意味のレームダックではないのですが、そんな状態にある中、そろそろ後進に道を譲ってもいいかもしれません。このブログでリーダーが華を飾るピークが短くなっていると申し上げました。アメリカ大統領も8年もやれる時代ではないでしょう。
プーチン氏が死ぬまでトップに君臨する準備をしていますが、あの国も民衆がいつまで黙っているかわかりません。中国は習近平氏が長期政権を目指したころから歯車がずれたことを思い出すべきでしょう。日本に首相候補がいないのではなく、見つけようとしていないだけのことなのかもしれません。
過激な感情表現
立憲民主党の安住淳国対委員長が国会内に張り出されている新聞記事に「採点」を行い、お気に召さない新聞社に辛口の「0点」とか「論外」といった書き込みをしていたことで謝罪に追い込まれました。メディアは憲法で保障された表現の自由という枠組みの中で様々な視点から物事を論じています。それに対して安住氏が自分の思想や考えに基づき評価をするのは構わないのですが、公人として国会内でそんなことをするのは仮に冗談だと言い訳しても通じないでしょう。
一方のアメリカの一般教書演説。見たことがない方は是非とも一度ぐらいご覧になったらよいと思いますが、ばかばかしいほどエンタテイメント化しています。与党議員は年中立ち上がり、拍手をし、野党はしらけ切ったムードを醸し出します。あるいは様々なゲストが来てドラマ化したストーリーで人々をその気にさせます。そして今年のエンタメ大賞はトランプ大統領の後ろに座っていたペロシ下院議長が一般教書演説終了直後、その原稿をびりっと破り捨てたパフォーマンスでしょうか?
こういうのを見ていると世の中をより過激させるだけで決して楽しくありません。子供も見ているのです。過激なパフォーマンスは面白いと思うと真似るのはわかっていることでしょう。ただでさえ、エキストリーム系が若者の間で好まれる時代に本来あるべき道徳心を持たずしてどうするのでしょうか?国家運営をする人に品格はないのでしょうか?実に残念なことであります。
後記
人気グループ、嵐の卒業はファンの卒業も促しているような記事がスポーツ紙にありました。ネットフリックスの嵐の毎月配信の特番をチェックしていますが、赤裸々でファンを冷めさせる番組かもしれないと感じています。二宮さんの結婚、櫻井さんの公然の交際、メンバー同士の不仲説に対して耳を塞ぎ続けたファンとのコミュニケーションラインが壊れてきていないでしょうか?自虐的で暴けば暴くほどファンは困惑しないでしょうか?芸能界のベールをもっと大事にした方がよかった気もします。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年2月8日の記事より転載させていただきました。