「お客様は神様」はもうやめよう

内藤 忍

コロナウィルス騒動で、世の中ではまた奇妙なことが起こっているようです。昨日、フェイスブックを見ていたら、ドラッグストアの店員が疲弊しましたと、こんな投稿を掲載していました。

1.5カ月前。まさにコロナにより、マスクの供給不足となった頃から毎日毎日同じことを聞かれて、あげくキレられたりと増えてきました。

「マスクの入荷はいつ?」

「いつもないじゃない!」

「病人がいていつも買えないのに、1個くらい取り置きしてよ!」

今まで笑顔だったお客様が、全員鬼に見えます。

購入数量の規制もかかり、多く持ってきた方に説明すれば、不服そうに文句を言われます。

だけど「申し訳ありません」「すみません」と頭を下げます。きっと、「ありがとうございます!」よりも「すみません」の方が割合が多くなり、正直、ノイローゼ気味です。

(投稿から一部抜粋)

ドラッグストアでは、マスクが売り切れるだけではなく消毒液や、ティッシュ、トイレットペーパーまで、品切れになっているそうです。

店頭や電話で在庫の確認をしたり、品切れに対する謝罪をしているうちに、日常業務もままならず、ストレスが極限まで高まっているようです。

しかし、考えてみれば、品切れを起こしているのは、店員の怠慢ではなく、買い占めをしている消費者自身が悪いわけです。

買い占めに来た人たちに、責められる筋合いはなく、むしろ責められるべきは買い占めに来ている顧客の方です。自分で自分の首をしめているだけの話です。

今回のドラッグストアの事例に限らず、日本では謝る必要のない人が、謝罪ばかりしている不思議な情景が珍しくありません。

例えば、電車に乗っていると、事故による影響でわずか数分遅れただけでも、アナウンスで車掌が乗客に謝罪しています。

そもそも、数分遅れた程度で謝るのもどうかと思いますし、事故は車掌の責任ではなく、どうにもできない問題です。

飛行機の機内でも、キャビンアテンダントに、どうしても和食が食べたいと無理難題を投げかけ、クレーマー化している乗客がいます(私ではありませんよw)。ひたすら謝っている姿を見ていると、横から一言「良い大人が、いい加減にしなさい」と言ってやりたくなります。

日本のサービス業は、そろそろ「お客様が神様」という固定観念を変えた方が良いと思います。もちろんホスピタリティは重要ですが、理不尽なことに対しては、謝るだけではなく、正当な主張はすべきではないでしょうか。

エスカレートする要求に応えているうちにサービスに疲れてしまい、最終的にモチベーションも下がり、優秀な人材が失われてしまう。長期的に見ればそのほうがずっともったいないと思います。

コロナウィルス騒動でリモートワークに社会がシフトするように、サービス業のルールも世界の常識に変わっていって欲しいものです。

ドラッグストアで働いている皆さまに、一日も早く心の平安が戻ってくることをお祈りしたいと思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年3月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。