やっぱり「積立投資」が最高の投資法

コロナウィルスの影響で株式市場が大きく変動しています。昨日のアメリカ株式市場は、下落相場から一転して大きく反発しましたが、まだ本格的な上昇と言える状態ではありません。

このようなマーケットの大きな調整とそこからの回復は、これまで何回も繰り返されてきました。私が社会人になって間もなく、ブラックマンデーがあり、マネックス証券で仕事をしていた時には、9.11のテロによるショックやリーマンショックがありました。これらのショックは、今でも良く覚えています。

そんな混乱の渦中にいる時は、世の中も混乱し、将来に対する大きな不安があって、投資を止めてしまいたくなります。

しかし、後から振り返ってみると、相場が下押ししても投資を止めないで続けることが、最終的にベストの結果になったことがわかります。

しかも、それは今までの全ての調整局面に共通しているのです!

日経電子版より

図表は、日本経済新聞電子版に掲載されていたリーマンショックの時に、積立を続けて投資した場合の資産の推移を示したものです。

株価の動きを見ると、下落してから時間をかけて元のレベルに戻っただけです。

もし、最初に購入して、下落してから投資を止めてしまえば、時間が経って元の株価に戻ってきただけ。いわゆる「行って来い」で収支はプラスマイナスゼロです。

ところが、図表で示されているように、下落局面でも同じ金額(図表の例では毎月3万円)を積立ていくと、株価が元の水準に戻っただけなのに資産は4割近く増えて、60万円以上の利益が出ていることがわかります。これは株価が下がったタイミングでも、同じ金額を積立をしていることによって、安い時にたくさん購入することができ、平均的な取得価格が下がっているからです。

今回のコロナショックも、金融資産に関してはタイミングを考えて投資するより、過去の調整局面で有効だった「積立」で投資を続けることがベストだと私は思います。

日本経済新聞の記事によれば、とあるネット証券では「今回の急落では、積み立てを止める人もいる一方、新規で積立口座を設定する人の方が多い」そうです。

過去の経験に学ぶ賢明な個人投資家が増えていくのは、とても良い傾向だと思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年3月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。