新型コロナへの過剰反応は「韓国の失敗」への道

池田 信夫

政府は3月5日、新型コロナウイルスの感染防止策として、中国と韓国に発行済みのビザを無効とし、観光目的の来日自粛を要請する方針を固めた。中国と韓国から入国する人については9日から3月末まで、検疫所長が2週間隔離できるようにする方針だ。

こういう「水際対策」は、日本にウイルスが入ってくる前なら意味があるが、すでに国内で200人以上の感染者が出ている今やっても意味はない。海外で日本からの入国禁止令が出るのを防ぐ外交的な意味はあるかもしれないが、これも見当違いである。日本は危険な国ではないからだ。

大流行の最悪の時期は終わった

日本が「中国以外でもっとも危険な4カ国」の1つにあげられたのは、WHOのテドロス事務局長の見解が原因だが、これはクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の感染者を日本国内の感染者と混同した誤解だった。

ダイヤモンド・プリンセスの感染は公海上で起こったものであり、日本国内の感染ではない。外務省はWHOに訂正を申し入れ、WHOは最新の発表では「韓国・イタリア・イランの3カ国で中国以外の世界の感染者の80%を占める」と改めた。日本の感染者は世界の2%程度である。

感染の発端になった中国では、新型コロナ流行は終息局面に入っている。世界保健機関(WHO)と中国政府によるCOVID-19についての報告書では、1月25日には4000人を超えた新規感染者が、2月20日には数百人に減った。

中国の感染者数の推移(出所:WHO)

感染の初期には重症患者から検査するので致死率は高く出やすいが、多くの患者を検査すると致死率が下がる。中国でも武漢の致死率は当初20%以上だったが、最近は5.8%に下がり、武漢以外の中国では0.7%だった。

中国以外で感染が確認されたのは武漢から1カ月ぐらい遅れ、新規感染者もまだ増えているが、回復者も増えたので、世界全体の患者数(感染者数-回復者数)は2月下旬から減っている。まだ流行が終わったとはいえないが、最悪の時期は終わったのではないか。

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