報道各社の世論調査が16日、発表され、東京オリンピックの延期に向け、日本国内の世論が一気に加速した。
精度の高い選挙予測で定評のあるJX通信社の米重克洋社長はこの日昼に発表した調査結果で、東京五輪の延期提案に「賛成する」が50.5%、「反対する」が15.6%だったことを明らかにした。
次に夕方になって共同通信の調査結果の速報も入り、東京五輪を予定通り開催できるかどうかについて「できない」との回答が69.9%とほぼ7割にのぼり、「できる」の24.5%を大きく上回った。
そして夜には朝日新聞デジタルが18日朝刊に掲載する世論調査の結果を速報した(ツイッターは朝日新聞世論調査部長の前田直人氏)。
こちらはオリンピックとパラリンピックの開催について合わせて尋ねており、3択方式の回答のうち「延期する」が最も多い63%。続いて「予定通り開催する」が23%、「中止する」が9%という結果になった。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が止まらず、各地で五輪予選の延期や中止が相次いでおり、IOCのバッハ会長も「危機的」との認識を示している(参照:朝日新聞デジタル)。IOCの東京大会調整委員会のコーツ委員長は地元オーストラリアのメディアの取材に予定通りの開催を強調した。
しかし、その直後、IOC本部のあるスイスから18日に帰国するコーツ氏が、オーストラリア政府が自国民に求めている14日間の隔離対象になり、例外扱いはされないことも報道されるという間の悪い展開となった(参照:共同通信)。さらに選手たちの中にも延期論が浮上していることも表面化。英紙ガーディアンは15日、英陸上男子800㍍代表を目指しているガイ・リアモンス選手が「当局が平常通りに開催できると保証できないのであれば、大会を延期すべきだ」とコメントしたと報じた。
開催地の日本国内世論に加え、参加各国でも予定どおりに開催できるか懐疑的な空気が広がる中、IOCは17日、電話会合による臨時理事会を開催予定。なんらかの動きをみせるのか注目される。
一方、G7の首脳は16日深夜(日本時間)、史上初めてテレビ電話による7か国での首脳会議を開催。終了後、安倍首相は記者団に対し、「人類が新型コロナウイルスに打ち勝つ証しとして、東京オリンピック・パラリンピックを完全な形で実現するとのことでG7の支持を得た」と述べた(参照:政府インターネットテレビ)。G7が協調しての政治姿勢が、IOCの動向に影響を与えるか。