コロナウィルスとは戦うべきか、共存すべきか

コロナウィルスへの対策が各国で異なる動きになっています。

イギリスのジョンソン首相は、ピークカット戦略と言う方法で、コロナウィルスと共存しようと考えているようです。感染者を根絶しようとするのではなく、多くの国民に免疫をつけてもらうとする方法です。

ゆっくりと皆がコロナにかかることによって、感染のピークを低くして、医療崩壊を防ぎながら集団免疫を獲得する。

ところが、この戦略に対し「地獄への道」とネット上で書いているこんなサイトもあります(グラフも同サイトから引用)。

ピークカット戦略は想定よりも長期(3年以上)にわたり経済生活を停滞させる。その間、制限された日常生活を続けることは現実的に困難であるとしています。

また、医療崩壊のリスクもコントロールできなくなって顕在化する可能性があると言う問題も指摘しています。

そして、死亡率が低いとは言え、もし日本で7割が羅漢し、その1%が死亡するとすれば、80万人以上の死者が出る計算になります。犠牲としてはあまりに大きな数字です。

確かに、このような数字に基づく定量的な分析は一見、ロジカルではあります。しかし、パラメーターの設定によって、結果が大きく変わります。羅漢率や死亡率の数字が、今後の治療法の確率や製薬の開発で変わっていく可能性もあります。

また、もし1つの国でコロナウィルスを根絶できたとしても、また他国から入国者があれば、感染者が発生するリスクはゼロにできません。

こうなると全世界で根絶をしなければいつまでたっても、入国制限はなくならず、経済活動が完全に復活しないことになります。

私は、ウィルスや感染病の専門家ではありません。しかし、この問題は専門家であっても、正しい結論は事後的にしか導き出せないと思います。

学校のテスト問題と異なり、世の中にはこのような正解が見つからない課題がたくさんあります。

多くの人の知見を出来る限り広く集め、取捨選択しながらベストな方法を探っていくしか方法はありません。

「時間軸」に大きなポイントがあることがわかってきたコロナウィルスですが、救いはこの問題はいつかは終焉することです。死亡者数を減らし、収束までの時間をどうやったら短くできるのか。試行錯誤しながらベストな方法を模索すべきです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年3月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。