「コロナショック後」の資産運用はどうする?

日本経済新聞の報道によれば、税収減や政府の支出拡大による財政悪化の不安から、財政基盤の弱いイタリア、スペインなどの国債が売られ、長期金利が急上昇しています(図表も同紙から)。

コロナウイルス自体の広がりによる健康被害も問題ですが、飲食・宿泊・旅行といった打撃を受けやすい業界への経済的なインパクトが顕在化してくるのはこれからです。各国の政府は財政政策によって対応していくことになりますが、影響が広がり長期化すればするほど、財政に与えるマイナスのインパクトが大きくなります。

アメリカも大規模な財政政策を発表し、国債の増発懸念から長期金利は上昇していくと思われます。

短期金利は金融政策で低く抑えられ、長期金利は財政悪化による国債の増発懸念から上昇。イールドカーブ(短期から長期までの各期間の金利をつなげたもの)は期間が長いところが高くなる「スティープにング」が進みます。これは先進国各国に共通の現象になると思います。

日本はどうなるのでしょうか。イタリアやスペインで起こっていることは他人事ではありません。

現状の日本国債は、日銀の国債購入によって長期金利が低位に抑えこまれて、イールドカーブはフラット化(平坦)しています。

しかし、日本もこれから大規模な財政政策を発動するはずです。既に財政状態はGDP比で先進国では最悪の状態になっており、長期金利に上昇圧力がかかるのは確実です。

長期金利が上昇すると、日銀が保有する国債に評価損が発生します。既にETFの購入で評価損を抱えている日銀にとっては、これ以上のマイナス資産の保有は避けたいところでしょう。とすれば、長期金利の上昇を防ぐためのオペレーションを続けざるを得なくなります。それは、日銀のバランスシートを更に膨らませることにつながります。

コロナショック後の資産運用はどうすべきなのか?

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年3月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。