オーバーシュート:株価は底が近い?

オーバーシュートという言葉をご存知でしょうか?昨日新型肺炎の専門者会議で出てきたオーバーシュート(爆発的拡大)ではありません。株や為替の世界でたまに使われるのですが、過剰反応で実態より一方向に行き過ぎることを意味するほうです。

(写真AC:編集部)

私は個人的にこつんと感じました。マーケットの底は近いかもしれないと。

同じオーバーシュートでも買われ過ぎの時のことを思い出してみましょう。例えばビットコインで世の中が狂喜乱舞していた頃、会社勤めの若い女性がクレジットカードでビットコインを買うというニュースに接した時、「あぁ、来る時が来た」とみていました。案の定、その後すぐに大暴落をします。

もっと古い話をしましょう。1929年の株式大暴落の際はその直前に靴磨きの少年が靴を磨く顧客が株で儲かった話をするのを聞いて株の世界に入ったという有名な話があります。その直後に大暴落が始まります。あるいは1989年の日本の株式バブルの際には主婦が株式新聞を買ってへそくりで株で一儲けしたという話はごろごろありました。しかし、それはエンドの始まりだったのです。

今、株式に対して「総悲観」になっています。実は私は総悲観になるタイミングを探っていました。各国政府がどんな政策を出しても株価はそれを打ち消すようにどんどん下がっていますが、誰が下げているのでしょうか?売り手は誰なのでしょうか?

2つあると思います。1つは投資信託やファンドの解約に伴う現金化。もう1つはコンピュータープログラムによる自動売買であります。片方は実弾で片方はその流れをAI君が読み取ってこの流れはもっと続くぞ、だから売りと指示を出すのであります。(プログラム売買はオーバーシュートさせる元凶であることはよく知られています。)

パニックの後には何があるか、といえば静寂であり、その時、ようやく人々は冷静になり始めます。私は今回の「惨劇」を止める方法は政府の経済対策よりもっと効果的なものがあると思っています。それは中国で感染が止まり、終息が近いというシグナルが出ること、もう一つはサウジがロシアと再度交渉して原油の減産に合意すること、この二つで世界のトーンは180度転換します。

産経に「武漢、新規感染『ゼロ』も不信と不安 封鎖からもうすぐ2カ月」とあります。記事には武漢市のみならず武漢市を含む湖北省全体でも感染者はゼロとなったとあります。ただ、見出しのようにそれを信じていないというトーンのものであります。

多くの皆様は「そうだ、中国の言うことなど信じられるか!」というかと思います。ただ信じるかどうかは別として中国がそこまで発表できるまで回復したという点は評価すべきです。言い換えれば中国で新型肺炎のエンドが見えてきた可能性は頭に入れた方が良いと考えています。

再三申し上げていますが、今回の新型肺炎は中国をスタートして地球を西に廻っています。今は欧州から北米大陸に到着しつつあるところです。北米では恐怖映画のような状態です。北米的な予防的措置と企業のガバナンスという効きすぎるブレーキで日本では考えられないような事態になっています。

取引先企業からEmailで「COVID-19に関して」という通知が一日5~10通ぐらい来ます。「弊社ではこの状況にこのように対応します」という宣言メールです。これも先が見えないという恐怖心を煽っているのですが、発信源の中国で収まりつつあるというのはじわじわと評価されてくると考えています。

多くの投資家がCash is Kingと考え、投資信託を解約しています。アメリカや日本ではREITが溶けるという表現がふさわしいほど売り込まれていますが、不動産がなくなるわけではない、もう少し我慢すれば必ず収まるという忍耐と落ち着きがなくなっているというのが現状であります。

私は株を少し買い始めています。冒頭の例はオーバーシュートの後の暴落でしたが今回のケースはオーバーシュートの後の暴騰があるということもまた経験則だと思っています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年3月20日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。