「加計」当事者の私が、財務省の「森友」再調査を望む理由

原 英史

亡くなった赤木俊夫さん(Change.orgより:編集部)

森友問題で自殺された財務省近畿財務局の赤木俊夫さんのご遺族が再調査を求めている件、ネット署名した。

組織で上司から不正行為を強いられ、自殺に追い込まれる。こんな不幸なことが繰り返されてはならない。
そのためにも、なぜ文書改ざんがなされたのか、経過を明らかにしなければならない。

2018年3月の国会での証人喚問では、佐川宣寿元理財局長は、刑事訴追のおそれがあったため、すべてを明らかにできなかった。捜査が終結し、新たに赤木さんの手記が明らかになった今、佐川氏には、自らの言葉で経過を明らかにしてもらいたい。
それが不十分ならば、第三者委員会で再調査してほしい。

再調査に対し、「政治的思惑で利用されるのでないか」と否定的な人もいる。「そもそも改ざんをもたらしたのはマスコミ・野党の不当な追及だ」と矛先を変える人もいる。私はそうは思わない。

私自身は、「モリカケ」と称されたもう一方、加計問題の当事者だった。国家戦略特区のプロセスに関わり、追及を受ける側だった。また、その後、毎日新聞と一部野党議員から、私が特区関連で金銭を受け取ったなどと、あらぬ追及も受けた。

その経験からいえば、マスコミや野党の追及は、しばしば本当にいい加減だ。まともな取材もせず、“疑惑”があると言い立てる。事実を説明しても取り合わず、思い込みで追及を続ける。それでも世間には“疑惑”が広がり、どうにもならない。

そんな追及を受ける側の苦しさ、口惜しさはわかる。
しかし、それでも、追及を受ける側が事実を捻じ曲げたらいけない。
間違った追及には、事実をもって抗するしかない。

手記によれば、文書改ざんは佐川氏の「指示」だったという。言うまでもなく、部下に不正を「指示」するなど、決してあってはならない。あるいは、明確な「指示」を出したわけではなく、言外に部下に不正をおしつけたのかもしれない。もっと卑劣なことだ。

いずれにせよ、佐川氏には、退職したとはいえ、当時の責任者として事実を語る責任があると思う。
最後に、追い詰められた状況で、それでも正しく対応しようとしていた赤木さんに、心から敬意を表し、ご冥福をお祈りする。