昨日のオハナ(従業員の総称です)向けのメッセージにも書きましたが、肉親が新型コロナウイルス感染症に罹患してしまいました。私も接触者として保健所の指導を受けています。
以下、メッセージをほぼ全文記載させて頂きます。
それによって、更なる施設の閉館が決まり、直営店でテイクアウト中心の営業を続けられるお店も残り僅か4店舗となりました(FCも4店舗です)。それも、いつ閉めざるを得なくなるか分かりません。
売上高は減少が止まらず、現段階で前年比7%まで落ち込んでいて(マイナス93%。月商2億5千万円が1千7百万円になってしまいます)、まるで底なし沼に落ちてしまったかのようです。
オハナの皆さんには本当に苦労をかけています。
我々にとっては厳しい環境でもネット販売・スーパー・ドラッグストア等には逆に追い風で、社員激励のために特別賞与を出すという美談さえTVで目にします。それを見る度にオハナの顔が頭をよぎり、同じように頑張ってくれているのに、何も報いてあげられないことに申し訳ない気持ちで一杯になります。閉店による休業を余儀なくされているオハナの中には、なぜこんな会社を選んでしまったのかと悔やんでいる人もいるかもしれません。心配ですよね。
私も先月から、自分の役員報酬をゼロにして闘っています。また、あえて代表取締役に復帰し、会社の連帯保証人として銀行借り入れをどんどん増やしています(どんなに増やしてもキャッシュフローの大出血を止められていないのが現状です)。幹部社員たちも今日から半分以上は休業して本部経費を極限まで減らすことに合意をしてくれました。全員、皆さん同様に生活がかかっていますが、今は我慢をして、必死に頑張ってくれています。
正直言って、今はトンネルの先の光が見えません。
しかし、これだけは約束します。
力を結集して、尋常では無いこの難局を乗り越えることができれば、我々は間違いなくこの日本にとって必要不可欠な、新しい食文化を広げる会社として、更に成長して存続することとなるでしょう。その先には明るい未来があり、皆さんの努力にも必ず酬いることが出来るようになります。
我々は絶対に負けてはなりません。
世界中の人々を恐怖と窮地に陥れている、この憎いコロナウイルスに屈してはなりません。
10年かけて提供してきた新しい文化と数えきれないほどの笑顔をここで終わらせてはなりません。
不安になる事も、不満で頭が一杯になる事もあるかと思いますが、私は絶対に最後まで諦めません。
ぜひ信じてついて来てもらえらばと思います。
また、これは皆さんに伝えるべきか、ここまで迷いながら書いてきたのですが、やはり伝えることにします。
実は私の肉親がコロナに罹患してしまいました。感染経路は不明です。39度以上の熱が出てPCR検査をしてもらった結果、陽性が判明しました。幸い近くの病院に入院ができて、現在は病状も安定していますが、それを知った時の恐怖は筆舌に尽くしがたいものでした。私は弟も母も若い頃に失っており、これ以上は誰にも先立たれたくないと思いながら生きてきました。弟は治療法のない難病にかかってしまった結果の死で、何もしてあげることができませんでした。
この指定感染症である新型コロナウイルスの恐ろしいところは、一度入院となってしまえば重篤になっても手を握ってあげることはおろか、病院に行って近づくことさえ許されなくなるという事です。そして最悪の場合、荼毘に付されるまで会うことができなくなってしまうのです。つまり、入院時に見送る時の後ろ姿が最後の別れとなってしまう可能性がある。それを想像しただけで恐ろしくて胸が張り裂けそうになります。
だから、皆さんには再度のお願いです。今も、少しでも多く生活費を稼がなくてはならないというオハナを中心にお店は運営されていますが、本当に本当に細心の注意を払って仕事をしてもらいたいのです。少しの油断で自分や家族、そしてお客様が罹患してしまう可能性が高まるという事を常に忘れずに、マニュアルを遵守して、徹底した衛生管理を行ってもらいたいのです。徹底する自信がなければ、もしくは私の話を聞いてやはり心配になったのであれば、無理をせずに、申し出て休んで頂きたいのです。
今のところ、毎日配布しているマスクと消毒液のお陰か、オハナの感染の報告は受けていません。なんとか最後まで感染者を出さずに、この闘いを乗り切りたいと思っています。日々の生活でも、仕事の時と同じレベルで衛生管理を徹底して頂きたいと思います。
因みに私には症状がありませんので、保健所で指導されている健康観察期間が終わればまたお店に行って、現場の闘いに参加したいと思っています。それまで、皆さんの持ち場・持ち場で、テイクアウト売上を少しでも伸ばす努力、そして徹底した経費削減をお願い致します。
一円でも売上を増やし、一円でも経費を下げるというオハナの行動にすべてが掛かっていると言っても過言ではありません。
皆で力を合わせ、絶対に生き残りましょう!
一日3回の体温測定(保健所からの指導は2回)を続けて、体調の変化にも細心の注意を払ってきましたが、お陰様で症状は発生しておりません。このまま変わらず、来週からは仕事に復帰できれば幸いです。
また、身近でこのような事が起きて、保健所で働く方々や医療現場の皆さんのご苦労と使命感を強く感じる事ができました。本当に頭が下がる思いです。同時に、入院患者(特に重篤患者)が今のペースで増え続けると、現場は間違いなく崩壊するとも思いました。
物資の補充に、人工呼吸器とECMOの準備。それを扱う人員を増やすために、今は規制を緩和して医学部の大学生からでもボランティアを募り、呼吸療法医学会と集中治療医学会の指導の元、いざと言う時のためのヘルパーとしてのトレーニングをどんどん行うべきです。失敗した時は誰が責任を取るんだと叫ぶ人たちは、自分や家族がECMOを緊急に必要とするような極限状態を想像してみて下さい。機械はあるけど人がいないので使えないと言われるよりも、半分素人でも出来る限りのことはやってみますと言われる方を絶対に選ぶと思います。
今はコロナとの戦争の真っ最中なのです。
最悪のシチュエーションを想定して準備を進めるべきです。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、元参議院議員の松田公太氏のオフィシャルブログ 2020年4月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。