しかし、その内容はすでに多くの人の常識となっていることであり、専門家が敢えて指摘するような内容ではありません。実践するかしないかという問題です。
それよりも「専門家」から知りたい事は「2つの数値」です。
1つは、国内感染状況の現状と今後の可能性を、数値化することです。
8割の接触削減をしないと日本国内でも最悪42万人が死亡するという西浦教授の「予言」は、現時点で500人の死者という現実と大きく乖離しています。
緊急事態宣言を5月末まで続けた場合と、今解除した場合を比較して、人との接触機会がどのように変わるのか。そして感染者数、死亡者数にどのような違いが考えられるか。それを数値化して示さなければ、安倍首相に断腸の思いと言われたところで、世論は延長に納得しません。
そして、もう1つ知りたいのは、今後緊急事態宣言を解除する条件となる具体的な数値です。
今回の延長も「感染者の減少が十分なレベルではない」という曖昧な理由でなされ、どの数値が何人になれば十分な減少なのかの説明はありませんでした。
毎日発表されている新規感染者数も曜日による数値のブレが大きく、あてにはなりません。感染実態を把握できないまま、過剰な自粛をしてしまうリスクが大きくなっています。
そんな中、大阪府の吉村知事が「出口戦略の大阪モデルをつくる」と動き出しました。医療現場の状況を「数値化」して判断するという手法です。このような明確な方針が打ち出されれば、自粛要請にも合理的な理由があり、納得感が高まります。
東京都や政府もこのような数値目標を明確にすることで、自粛に疑問を持ち始めている都民、国民を納得させるべきです。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年5月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。