こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です。
一昨日、新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ~「新しい日常」が定着した社会の構築に向けて~が示され、先日の骨格をより具体化したものが示されました。
すでに、同僚の森沢きょうこ議員、斉藤れいな議員がそれぞれ整理していますが、私からは良い面と懸念する面をあわせて書こうと思います。※名前をクリックするとブログに飛びます
まず前提として、「新型コロナ対策に正解はない」つまり、二者択一(0か100か)で判断していくことは困難です。
- 感染症対策や医療関係者の方々からは非常に慎重な姿勢が伝えられています。
- 経済界からは早期の再開を求める声があがり、なし崩し的に営業再開へ傾きつつあるようにも感じます。
- 学校再開を求める保護者もいれば、治療方法が確立させるまでは行かせたくないとする保護者もいます。
- 外出自粛の長期化により家族関係の悪化が危険な状態になっている方もいる一方で、保育業界からは一斉休園を求める声もありました。
政治家の役割は、この0~100の中で、社会情勢を見極めたチューニングをしていくことだと考えます。そのために、
- 日々接する情報について、範囲は適切か(漏れはないか)、量は十分か(偏っていないか)、質の比較はできているか(緊急度や重要度が自分の価値観に寄っていないか)といったことを考えながら、バランス感覚をもつこと。
- 危機管理においては、不要な混乱を生み出すことのないよう、自分のもつ責任と権限の範囲内で、できることを見極めて行動していくこと。
を心掛けています。
そのような観点から、今回示されたロードマップについて、良い点と懸念点をあわせて書いていきます。
1.学校再開のステップと保育や学童について
学校再開のステップが示され、分散登校から始めていくことは妥当だと考えます。
また、ロードマップには2週間ごとに見直しと記載されていますが、2週間は決定ではなく、状況を見て早めることもありうるとされています。つまり、学校における対策が整い次第、通常の学校再開も遠くはないと考えます。
一方で、学校再開と保育や学童の再開があわせて示されていない点については大きな問題です。特に働く保護者の方々にとっては、学校が再開されても、弟や妹が保育園に行けなければ働くことはできません。独自調査でも、在宅勤務と子育ての両立は困難であり、家庭のストレスは危険なレベルに達していることが分かってきています。
また、分散登校や短縮授業が続く中、学童が開設されるかどうかは大きな関心ごとです。区市町村に判断がゆだねられ、ばらばらの対応になっていることも問題です。これについては、区市町村との協議を重ね、統一的な見解を示していくとのことですが、早急な対応を求めているところです。(ずっと求めていますが、担当の福祉保健局がコロナ対応でパンクしている状況も垣間見え、複雑な気持ちもわいてきます。)
加えて、学校も保育も、目指す先は「これまで通りに戻す」ことではないとも思っています。例えば、学校におけるオンライン学習の導入によって、学校や教員にしか発揮できない価値を生み出すべきです。保育における認定要件や報酬算定基準を見直し、時間や場所にとらわれない新しい働き方や暮らしに対応した柔軟な保育を目指すべきです。
※無所属 東京みらいの提案については森沢きょうこ議員のブログをご覧ください。
2.事業者目線と都民目線のガイドラインについて
もう一つ見逃せないのが、事業者向け 東京都感染拡大防止ガイドライン ~「新しい日常」の定着に向けて~が示されたことですが、読んでいただくと分かる通り、国と各業界が協議を重ねているガイドラインをなぞったような内容であり、物足りなさを感じます。東京には東京の商習慣があり、また、業界団体に所属していない新しい分野のビジネスもあります。
施設別の休業要請緩和のステップも示されましたが、国と業界のガイドラインが整っていない業種については記載がなかったり、「×」とされてしまっています。昨日、早速にライブハウス関係者の方から問い合わせがあり、確認したところ、
「接待を伴う飲食店等、カラオケ、ライブハウス、スポーツジム等のクラスター発生歴のある施設については、今後、「国の対処方針等の状況を踏まえ、対応を検討していく」
とのことでした。国が示せば都もならうということであり、早期に営業再開への道も開けるかもしれないということでもありますが、あまりにも主体性に欠ける姿勢ではないかと思う次第です。4月初旬、国が緊急事態宣言に対し慎重姿勢だったころ、独自の協力金を示すなどして先導していった姿勢をもう一度思い出してほしいところです。
仮に、国と各業界の協議を待つとするなら、都がすべきことは、そのガイドラインが守られたうえで、経済活動を取り戻していくサポートです。今回の補正予算で、各業界のガイドラインに沿った感染防止対策や(業種を問わない)業態転換への補助金を打ち出したことは意義あることですが、事業者側への働きかけだけでは不足です。都民自身が、どのような行動が望ましいのか、どのような行動は避けるべきなのかといったことを示していくべきです。
例えば、飲食店に対して席数を減らすようにお願いしながら、満員電車で通勤していたら意味がありません。あるいは接待を伴う飲食店やカラオケなど近距離や大声で話す業種への休業を要請しながら、マスクもせずに井戸端会議をしている方を見ると違和感を覚えます。事業者だけでなく、都民一人一人が暮らしの各場面でとるべき行動を理解していくことが、無用な対立や誹謗中傷などを避ける意味でも重要であると考えるものです。
また、東京都独自の協力金についても、休業要請期間が異なることについて問題提起もしましたが、これについては検討中とのことでありました。早急に結論を出すこと、要請がさらに長引く場合には相応の支援が必要であることを指摘した次第です。
まとめに変えて
繰り返しになりますが、
- コロナの前と全く同じ生活を取り戻すことはできないこと
- 決してマイナスな方向だけの変化ではないこと
を念頭に、それぞれにとっての「新しい日常」を描いていく必要があるということです。
令和は、政治や行政が全ての道を示していくという時代ではありません。そこには、多様な選択肢があるのがあたりまえで、その選択を阻む制度を変えていく、必要な支援を講じていくのが政治の役割だと考えるものです。来週から第二回定例会がはじまります。引き続き、皆様との意見交換や情報収集を重ね、新型コロナで顕在化した課題をいかにして解決していくのか、という視点で質疑に臨みます。
基本的にテレワークでしたが、一昨日は委員会が開催されたこともあり、久しぶりに3人そろいました。
テレワークの方が集中してできることもありますが、顔を合わせるからこそ話せることもあり、ちょうどいいバランスを見つけていきたいなと改めて。
編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2020年5月23日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログをご覧ください。