今週のつぶやき:あっさり終わりそうな9月入学構想

岡本 裕明

外食や飲み会を2か月我慢し、今「さぁ、どうぞ」と言われてもなにか足が向かないことに気がつきました。今までの外食や飲みは惰性だったのか、あるいは家で過ごしながら楽しみを見つけることに変わってしまったのか、ある意味、恐ろしい感じがします。消費の先行きという観点も近いうち掘り下げてみたいと思いますが、私の日常行動や価値観にはどうやら微妙な変化が生じているようです。

では今週のつぶやきです。

株価は出来過ぎ、踊り過ぎ、二日酔いに気をつけよ

日経平均は一週間で1500円ほど上昇、NYダウの900㌦程度と比べると出来過ぎ。また日経平均はボリンジャーバンドの2σの21737円を超えているなどテクニカル指標で過熱感が高いため、6月に入る来週からは調整になるとみています。NYも米中問題が本格的に加熱すれば株価の頭を抑えることになります。

写真AC

どうもトランプ大統領の戦略はコロナから違う話題に移りたいように見え、その誘導に躍起のようにも感じます。香港をめぐるアメリカの対応であったり、SNSについて通信品位法第230条の撤廃か変更を求める大統領令に署名し、SNS関連会社の法的責任を免除しないと求めるなどなにか焦りに近いものすら感じます。

コロナが株価の足を引っ張る要因と考え、早くそこから脱却し、秋に向けて株価対策を考えているわけですが、さすが、日米とも買われ過ぎ、腹いっぱいに見えます。今後は経済指標や企業業績など実体面を重視しながらの展開が見込まれ、今までのようにどれもこれも5割、10割の上昇率というわけにはいかなくなるはずです。5月は市場参加者にとってはバブル以来の「宴」だったはずですが二日酔いには気をつけろ、でありましょう。

憂う、香港問題

香港問題とは中国が一国二制度の解釈を「内政」と称し、民主的手法を経ずに国家安全法を打ち出すことだと断言してよいでしょう。ところがどうも全人代などを通じて見える中国の幹部の姿勢は対米政策を意識しすぎ、香港のみならず、自国防衛と次なる時代への躍進路線を打ち出し、他を顧みず、我が道を突き進んでいます。それには台湾問題なども当然含まれ、幹部が自らの腕の見せ所とばかりに過激な行動に転じるように見えます。

28日に閉幕した中国の第13期全人代(新華社サイトより)

香港は中国本土でなし得なかった貿易や金融を代行できる中国本土との窓口的役割を担っているわけですが、それに対してアメリカが優遇措置の撤廃を行えば香港のメリットは剥離し、ただの街に成り下がることになります。香港が世界有数の金融や貿易の取引量を誇り、経済価値を生み出していたのは金融を通じて便益を求めるアメリカを中心とする西側諸国と中国の出先機関的位置づけという微妙なバランス関係の上に成り立っていたのですが、その成果を中国が自らの過ちで断ち切るのでしょうか?

一方、中国本土の人からすれば同じ中国人なのになぜ優遇されているのか、という嫉妬と妬みは多く、香港は単に99年間、英国が租借していただけじゃないか、99年の歴史は長い中国の歴史からすればほんの瞬きをするぐらいの間であるのに彼らは勘違いをしているという発想はしみついています。同じ論理で台湾ももともと国民党が逃げただけじゃないか、ともいえます。

手を出しにくい問題で、政治と国家の運営方針が民主主義と人権をどう担保するのか、極めて高度な判断が求められます。西側諸国はやんや言うでしょうが中国は何も気にしないで邁進するはすで、その時、暴力的、ないし人権蹂躙といったことが起きないかどうか、香港の長い戦いが再び始まります。

あっさり終わりそうな9月入学構想

この話が出たとき、多くのリーダーたちがポジティブな姿勢を示しました。私もぜひとも推進してもらいたいと何度か、このブログを通じて述べました。一方、非常に大きな変化なので十分に議論すべきというコメントも多く、それを受けて今年9月の導入はないけれど来年9月に一部、ないし全面的な導入を検討するというワーキングチームが立ち上がりました。そのワーキングチームは週明けにも正式に「導入困難」という提言をまとめる予定でメディアには見送りを大筋了承と出ています。

29日の会見で「9月入学導入について直ちに結論づけることはない」と述べた萩生田大臣(文科省YouTubeより)

十分な議論が必要ということでワーキングチームが発足したのですが、何度か会議をして「だめですね、反対が多い」としてしまいました。十分な議論はどこでやったのでしょうか?誰が誰と議論したのでしょうか?チームができない理由を探したのか変えるモチベーションがそもそもなかったのでしょう。

国民の合意形成が必要とありますが、合意形成とは実行シナリオを提示し、論理的で導入に意味があると考えられるような提案をもって議論を推し進めることであり、何もないまま、密室の会議室で反対が多いから導入困難というコメントを自民党は求めていたのでしょうか?そんなワーキングチームはいらないでしょう。それは提言ではなく、チームが機能していないだけです。

日本の教育現場がこの状態であれば日本の子女で海外での教育を目指す人は今後更に増えていくでしょう。多くの帰国子女は日本で様々な軋轢や一種の異邦人扱いを受けていますが、若手の企業経営者には海外の大学院を卒業した人も多いのは圧倒的刺激と教育についてのアプローチの違いに衝撃を受け、それを梃に日本の弱みを突いてビジネスを成長させることができることに気が付くからでしょう。

私は海外至上主義と勘違いされますが、海外には良い点、悪い点様々あります。日本がはるかに優れていることも多いのですが、教育については今の時代、日本にいるだけでは刺激度が足りなすぎるのです。今回の9月入学議論、これで終わりでしょうか?これでまた10年はないでしょうね。がっかりです。

後記

都知事選が視野に入ってきました。小池さんが再選を目指すのはともかく、堀江貴文氏が本当に出馬するのか私には彼の本気度が分からないのです。彼の強みと弱みを第三者的に見る限り出ない方いいと思うし、出ても勝てないです。選挙を通じた話題作りなら別ですが、立花氏とどこまで意思疎通ができているのかも私にはさっぱりわからないです。堀江さんと立花さんは相性が合わないと思うのですけどね。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年5月30日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。