産経新聞社は19日、同社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査の調査業務を委託した先が、別の会社に再委託し、この会社が電話をかけずに架空のアンケート結果を入力するなどの不正を行ったことを明らかにした。産経新聞は、この方式で調査していた昨年5月〜今年4月の計14回の調査結果に関する記事をすべて取り消した。
大手新聞社の世論調査で「ねつ造」が発覚するのは極めて異例で、産経にとっては黒川前東京高検検事長と社会部記者との賭けマージャンに続く不祥事となり、社内からは「政治部にとっては賭けマージャンの問題より影響は深刻」(ベテラン記者)との指摘もあがっている。
ネットではたちまちこの問題がやり玉にあげられ、ツイッターでもトレンド入り。産経新聞に批判的な左派系の人たちの間からは、ライターの武田砂鉄氏が「毎日とんでもないことが起きる」と呆れた様子。
精神科医の香山リカ氏は「つまり下記の調査全部に不正があったということ。世論調査の分析で論文書く学者もいるがそれも無効になるのか。被害ははかり知れない。」とコメント。
ライバル社では、朝日新聞の三浦英之記者は「謝罪はもちろんだけれど、検証ではこの不正を取り除いた場合、政権の支持率などが実際にどのようなものであったのか、その不正前の正確な数値が知りたいところ」と注目点を挙げていた。
世論調査の対象となる政治家からは、国民民主党の泉健太衆議院議員が「世論も注目し、政権や政治家も注目するのが『世論調査』。この結果を根拠に、記事や社説が書かれることもある。信頼への影響は甚大です」と深刻に受け止めた様子。
自らも世論調査を元に政治を論評している国際政治学者の三浦瑠麗氏は「高額のお金を毎回かけてきた世論調査で、委託先が不正とは。 なんということだ」と驚いていた。