豊橋市議の長坂です。
いち愛知県民です。
さて、国政や東京都政だけでなく、愛知県政でも大きな動きがありました。
「yes!高須クリニック」の高須克弥院長が、愛知県の大村知事の「不信任議決」を求める請願を、愛知県議会に提出しました。
いち議会人として、いろいろ気になることがあって、全文を探したところ、簡単に見つかりました。
(書き起こし)
大村秀章愛知県知事不信任議決の請願書
愛知県議会議長 様
紹介議員 しまぶくろ朝太郎【内容】
(1)あいちトリエンナーレ2019表現の不自由点、展示による主催者責任
(2)新コロナ愛知県感染者の広報による個人情報流出管理責任と個人保護の対応【理由】
1・昭和天皇のお写真をバーナーで焼き下足で踏みつぶす動画を開会時隠されて、再開示の展示責任1・慰安婦像の展示責任
1・日本軍人、間抜けな日本人と称する展示責任
1・県民・市民・国民の税金(血税)による公営会場の展示会を、独断開催、実行委員会主催名義だが事実上は県市の主催開催であったということは、県市が上記著しく政治的に偏向した展示にお墨付きを与えたことになり、日本を愛する人々を深く傷つけた責任。
展示一時中止後の独断再開と県民・市民・国民(主権在民)多数の反対意見を無視した開催(実行委員会の非開催問題)1・名古屋市民の負担金未払い結果による、あいちトリエンナーレ会長名での(名古屋市・名古屋市民)を提訴
1・あいちトリエンナーレ2019における全体経費の内、平成31年度愛知県負担金を名古屋市・国は減額をしたが、何故愛知県は減額をしなかったのか。
又、減額に対して愛知県議会では議論をしなかったのか。以上の理由により、愛知県知事不信任の可決を愛知県議会に求めます。
令和2年6月17日
お辞め下さい大村秀章愛知県知事
愛知100万人リコールの会
代表 高須克弥
細かい点ですが、報道などでは(おそらくわかりやすさから)不信任「決議」となっています。
しかし、請願書では正確に不信任「議決」となっており、作文に詳しい方が関わられたことが察せられます。
(国(内閣)には不信任「決議」ですが、地方議会(地方自治法)は不信任「議決」)
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気になっていたのは「紹介議員」です。
請願を提出するには(豊橋市議会では)最低1名、請願に署名をする「紹介議員」が必要になります。
請願書を提出できる、ということは少なくとも1議員は、全面的に請願に賛成する議員がいるはずです。
その紹介議員が、どの政党のどなたかと気になっていました。
それは、減税日本のしまぶくろ朝太郎県議、でした。
大村知事へのリコール運動には、河村たかし名古屋市長も応援しているので、
河村市長が代表の減税日本の方が紹介議員、というのも頷けます。
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不信任議決、について、一般論です。
まず、不信任議決は、出席議員の4分の3以上の賛成で成立します。
成立した場合、首長(知事)は、10日以内に議会を解散することができます。
議会解散となれば、議員の選挙となります。
選挙期日(投票日)は、解散の日から40日以内です。
つまり、不信任を議決した日から、50日以内で選挙となります。
解散せずに10日が経過すると、首長は自動的に失職となります。
その他には、失職前に首長自ら辞職する、という選択もありえます。
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愛知県議会のスケジュールに照らすと、
(おそらく7月2日(木)11時半~の)議会運営委員会で審議。
実質的に、ここで賛否が決まります。
賛否を握る議会運営委員(14名)はこちらです。
7月6日(月)10時~の本会議で採決
(もし、不信任が成立した場合)
10日以内(7月16日(木)頃)までに、議会を解散
更に40日以内(8月25日(火)頃)までに、選挙。
となります。
また「4分の3」というのは非常に大きなハードルで、
愛知県議会においては102人のうち、77人以上です。
(議長除くなどは考慮せず)
最大会派の自民党でも57人のため、まだまだ足りません。
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実際に、不信任が成立するかどうかと言えば、その可能性はとてもとても低いでしょう。
大村知事を見る限り、あいちトリエンナーレに強い信念で臨んでいるようですので、
不信任が成立すれば、議会を解散するでしょう。
愛知県議会議員選挙は昨年4月にあったばかりなので、議員もこんな短期での選挙を望むと思われません。
不信任は、両刃の剣です。県議会が、選挙(解散)覚悟で不信任を突き上げるとは考えにくいです。
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では、高須氏の請願が意味がないかと言えば、それもまた違うでしょう。
高須氏も以下のように投稿しています。
請願に対して、議員は賛否を明らかにしないといけないため、どの議員がどういう立場なのか明らかになることでしょう。
(それですら、態度を明らかにしないため、欠席する議員が出ないかと懸念していますが)
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私がそれほど細かく、愛知県議会をウォッチしているわけでありませんが、あいちトリエンナーレについて、県議会でそれほど活発な議論がされているように外からは見受けられません。
(県議会の委員会は中継もないようですし)
「愛知県議会 トリエンナーレ」で検索して、県議会の動きが見られたのは、昨年8月14日付けのこのブログがトップでした。
今回の愛知県議会では、次期あいちトリエンナーレ(仮称「新・国際芸術祭」)のための予算約2000万円が計上されています。
6月補正予算案に計上していた開催準備費約3800万円を約2千万円に減額することを明らかにした。(略)
芸術祭を巡っては県議会で過半数を占める自民党が6月、開催のあり方の再検討を求め、大村秀章知事が応じる意向を示していた。
実態としては、この度の高須氏の動き(リコール含む)は、この予算審議に、より大きな影響を及ぼすのではと邪推しています。
どのような議論がされるのか、議員から修正案は提出されるのか、などが本定例会における現実的な着地点、となる気がします。
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不信任が成立しない場合、高須氏は8月1日から、知事の解職を求める署名運動(リコール運動)を展開するようですので、愛知県の暑い夏は、しばらく続くのかもしれません。
本件について、どちらに与するなどは今のところ考えていません。
しかし、知事の新型コロナウイルス対応について、お金も手間も市にしわ寄せが来ていることには、いろいろ思うこともあります。
別件のため今回は書きませんが、改めて書くかもしれませんし、書かないかもしれません。
では!
(追記)
高須先生から「正確な読み」とお墨付きいただきました。