私は、小池百合子氏のことを遠巻きに見ている人物としては嫌いではありません。歯切れの良い言葉、時代の流れを掴むセンス、目的達成のために手段を選ばないクールさ。しかし、本書の中では、彼女の素顔は、極めてネガティブに描かれています。
甲南女子では「英語少女」と呼ばれていたのに、英語では競争相手が多すぎる。そこで、もっと違う言語にしようと考え、父親の書棚の本からアラビア語を選ぼうとカイロに留学することを決意した。
そこには「自分の人生をマーケティングしていたのだ」と語っているように、明確な戦略があったのです。やりたいと思うことではなく、どこにいったら競争相手が少なく、自分の希少性が高まるかを考えて行動していた(54ページ)
とすれば、学生時代から自分のマーケティングに長けていたことがわかります。
日本人女性として初めてアラブ系の名門カイロ大学を卒業したという経歴は、希少性となり、他の女性との差別化に大きな役割を果たした事は事実です。
だからこそ、その学歴が偽りだとすれば、公職選挙法以前に、今までのキャリアの前提が崩れてしまうことになります。カイロ大学から「小池百合子氏は卒業した」とコメントさせたのは、どのような力が働いたのでしょうか。
そういえば、以前、経歴を詐称してキャスターになり損ねたイケメン男性がいました。それになぞらえて、「ショーン小池」と揶揄されたこともあるそうですが、小池百合子氏は彼とは格が違うようです。
マイケル・ジャクソンは、クインシー・ジョーンズという天才プロデューサーと組むことで傑作「スリラー」を生みだし「キング・オブ・ポップ」の称号を手に入れました。
小池百合子氏は、政界のマイケル・ジャクソンになりたいのでしょうが、クインシー・ジョーンズのような振付師の役割が向いた人ではないでしょうか。こう言ったら、クインシー・ジョーンズ氏に失礼かもしれませんが・・・。
この本に書いてあることがどこまで事実なのかは、わかりません。しかし、小池百合子氏が政治の世界のリーダーたりうる人物かどうかは、よくわかりました。
東京都民でなくても、一読の価値がある著者渾身の作品です。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年6月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。