クールジャパン戦略のいま―自民党にて(前編)

自民党ールジャパン戦略推進特別委員会が開催されました。
古川俊治委員長、山下貴司事務局長、柴山昌彦さん、馳浩さん、桜田義孝さん、松本明さん、藤末健三さん、山田太郎さん、杉田水脈さん、朝日健太郎さん、藤章さん、伊藤信太郎さんほか大臣経験者含む議員のみなさんが参
政府からは、知財戦略、地方創生、総務省、厚労省、法務省、外務省、経産省、農水省、環境省、文化庁、観光庁、国税庁。
呼ばれて、議論してまいりました。
以下、ぼくのプレゼン大意をメモしておきます。
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新コロナで最も切実ダメージを受けているのがエンタメ業界。
コンサート、ライブ、劇場の公演中止で直接の損失に頭をかかえている。
中小や地方のプロダクションやプロモーターは倒産もあるだろう
金融支援、労働規制緩和なで政治の配慮をいただけるよう期待する。
日本政府2000年代の頭からコンテンツ産業に注目するようになった。
2003年には知財戦略本部を置き、経済産業省や文化庁ど関係する省庁とともに、コンテンツなどの知財の政策に力を入れ始た。
かつての国内重視・産業振興策から、海外展開・ネット展開重視へと転換してきている。
第一課題、海外展開。
クールジャパン機構など資金面での政策ツールが充実してきた。
海外市場は5年で26%拡大
この5年間で、アニメは3.6倍、映画は4.3。放送は4.3倍に拡大。
これは政策成果と言ってよい。
だし日本のコンテンツ売上は海市場の2.5%で、伸びしろがあ
開比はアニメ48%、ゲーム36%、映画12%、音楽3%。
世界で開かれる日本のポップイベントに来る客は年2000万人にのぼるが、日本はビジネスとして取り込めていない。
アウトバウンドからインバウンドへの対応強化も重要。
第二の課題、ネット展開。ネットワーク配信は2008年の9.5%から26.0%まで拡大したが、ンガ40%、アニメ15%、楽8%、動画4%と 分野により差が大きい状況。
音楽は世界市場が拡大、売上の8割がストリーミング。日本は逆に8割がCD。
世界の成長の波に乗れていない。
マンガは海賊版、アニメはネトフリックスなど海外の配信ゲームはグーグルなどによるクラウド化への対応、音楽はスポティファイなど海外プラットフォームへの対応という具合に、海外のレイヤーが脅威。
ネットフリックス、アマゾン等はコンテンツ制作金提供や海外販路拡大というチャンスをもたらす面もある。
賊版対策、通信放送融合、eスポーツなど新領域の開拓、音楽著作権処理ルールの整備など、各ジャンルでの対応が必要なものがあるが、ジャンを横断し、他分野と連携する対策がより重要。
対応する方向性として2点提案する。
まずコンテンツと他分野とのマッチング。ファッション、食、観光その他の産業との連携により、相乗効果を発揮する戦略が重要。
ポケモン10兆円の売上のうち、6兆円以上がキャラクター商品ビジネス。
キャラクター力を活かしたイセンスビジネスによる他産業展開。
中山淳雄さん著「オタク経済圏創世記」によれば、アニメ制作の売上は2444億円、その後の権利ビジネスは2.1兆円。 10倍近い。
アニメは聖地を作ってインバウンドなど観光客を呼んでいる
2次元のコンテンツと3次元のライブ、バーチャル+リアルを組み合わせた、いわゆる2.5次元戦略が注目される。
韓国のコンテンツ戦略が参考になる。K-Pop、韓流など競争力あるンテンツ領域を絞って、家電、自動車といった競争力ある分野とマッチング、それによる海外展開を政府が強力推進。
テンツ振興院KOCCAという国組織がパワフルに動いているが強み。
私のもとで博士号を取ったKOCCA日本代表、黄さんによると、パラサイトのポン・ジュノ監督は、金大中政権が作った映画の国立大学・韓国映画アカデミーの11期生。25年かかった国策の成果がアカデミー賞とけ止めているという。日本のコンテンツ政策も25年かけて進める覚悟を求めたい。
もうひとつの方向性、 Society5.0対応。
コンテンツ分野はテクノロジーの波に飲み込まれる。
しかし中小企業の集まりで、十分に対応ができていない。
流通境は5Gとラウドに、デバイスはIoTVRなど多様な環境となる。
ビジネスは、AI+データ導となり、ブロックチェーンによる管理も広がる。
取り分け、コンテツ分野が急にデータビジネス化し、国境を越えプレイヤーが国内展開する中、データ利用・流通システムの整備が重要な課題。
例えばアニメはテレビやネッで流通するが、ネットリックスは全コンテンツがデータを元にしたターゲティングビジネスだが、国内のテレビは視聴データを使えておらず、まだ実験階。
また、海賊版対策は知財戦略(著作)とIT戦略(通信の秘密)との間の調整が重要課
憲法問題。
同様に、知財・コンテンツとIT・テクロジーを巡る政策案件は増大すると予測さる。
行政組織のあり方も検討に値する。

編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2020年6月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。