自衛隊、中古装備品をオークションへ 河野防衛相「F35の1機分の収入上げたい」
河野太郎防衛相は3日の記者会見で、退役した輸送機操縦かんなど自衛隊装備品を一般に販売する初のオークションを26日に実施すると発表した。財政状況が厳しい中、河野氏は最終的な金額目標として、「(1機100億円以上の最新鋭ステルス戦闘機)F35の1機分の収入を上げたい」と意気込みを語った。
河野大臣はその先を考えていると思います。装備庁内に、国内外の業者に広く余剰品や不用品を売却する組織を作るのでしょう。
他国ではそのような組織が普通にあります。以下は英国の組織ですが、それこそ靴下からヘリ空母まで売っています。
DESA is the sole authority within the Ministry of Defence (MOD) for the sale of surplus military equipment and inventory from the UK armed forces.
About DESA
The Defence Equipment Sales Authority (DESA) offers an alternative way for customers and international governments to acquire proven capabilities in a cost effective manner. DESA handles the disposal of all materiel that can generate revenue within the UK and overseas, for example, aircraft, aircraft spares, ships, boats, river craft and other marine vessels and spares, military and domestics vehicles, with the exception of nuclear, domestic waste and infrastructure. It is unique in government, specialising in the sale of surplus equipment.
いわゆる兵器の類は対政府販売、あるいは国際的な専門の業者が対象になるでしょう。旧式の護衛艦とかヘリ、FH-70、余剰のP-3Cとかはそうやって売り飛ばせばよろしい。
64式小銃とかも売り飛ばせばよろしい。銃器なんてマニアが買ってくれそうです。外為法を改正してこういう販売をやりやすくしないと。
それ以外は主として国内の業者に入札で販売することになるでしょう。それが諸外国では一般的です。個別のアイテムではなく倉庫一つ分をいくらで応札するか、というようなやり方も多いです。
使い古したものや未使用だけど使用期限が来そうだったり、新型が導入された作業服やブーツ、個人装備、NBCスーツ、建機、テント、毛布、ストーブ、医療関連品、糧食などありとあらゆるものがあります。これらを定期的に販売すれば相応の利益が出るはずです。
それらはマニアだけではなく、NGOや地方自治体、外国の軍隊なども顧客になります。実際海外のサープラス問屋には外国の軍隊から買付が結構あります。例えばテント2000セット、毛布1万枚とかいうオーダーがあったりします。
テントや毛布、ストーブなどはNGOや地方自治体にとっては安価に数を揃えることができるので魅力になるでしょう。また自衛隊関連装備は出回っていないので海外のサープラス業者から引き合いが来るかもしれません。
この手の事業にとって一番の敵は防衛省、自衛隊の過度の秘密主義です。なんでもかんでも秘密にすると売り物がなくなります。諸外国の制度をよく勉強して、世間知らずの秘密主義を振り回すのはやめるべきです。
Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
European Security & Defence に以下の記事を寄稿しました。
Hitachi wins Japanese bulldozer contract
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年7月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。