トランプ大統領は30日、「国民が適切かつ安全に投票できるまで選挙は延期?」とツイート。苦戦が予想される11月の大統領選の延期について言及したのは初めてだ。
実際には大統領にその権限はなく、民主党が過半数を握る下院を含む連邦議会の同意を得て法律を改正する必要があるため、延期の可能性は極めて低い。本格的な選挙戦が始まる前に早くも禁断のカードを切ったトランプ大統領だが、民主党のみならず身内である共和党議員からも批判の声が上がり、かえって求心力の低下を促進させる形となっている。
民主党の大物で、大統領選候補にも名乗りを挙げていたバーニー・サンダース議員は、「すみませんね、トランプさん。11月3日、選挙は行われます。何が起こるかって?あなたが負けるんですよ」と強烈な皮肉をツイート。
新型コロナウイルスの被害が甚大なフロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)はトランプ寄りとして知られてきたが、大統領選の延期の可能性を記者から問われると、「フロリダ州においてはその必要はない」と真っ向から否定。「不正選挙につながる」としてトランプ大統領が選挙延期の根拠に挙げている郵便投票制度について、「人気のある制度であり定着している。フロリダは郵便投票による大統領選挙の良い事例になる」とした。
米国で最も影響力がある保守派の法律組織Federalist Societyの共同設立者であり、レーガン、ブッシュ(父)ら歴代の共和党大統領政権をブレーンとして支えたスティーブン・カラブレージ氏(現ノースウェスタン大ロースクール教授)は、ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、「この(大統領選延期に言及した)トランプの最新ツイートはファシスト的であり、議会による即刻の大統領弾劾に値する」と断罪した。
一方、トランプの対抗馬であるジョー・バイデン民主党議員が、新型コロナウイルスが拡大を見せ始めた4月の時点で、すでに、それを理由にトランプが大統領選を延期するだろうと予言していた記事が今になって注目されている。
バイデンは、オンライン資金集めパーティーで、支持者らに対して「今から言う言葉をしっかり覚えておいて。トランプは11月の選挙をどうにか屁理屈をつけて潰しにかかるだろう」と話したとされる。