コロナ対策やってますという「アリバイ作り」

新型コロナウイルス感染対策の方法は、飲食店によって様々です。全く何の対策もしていない有名和食店もあれば、スタッフがマスクをして入り口で検温・アルコール消毒するといった対応のお店も少なくありません。

対策を徹底したお店になると、客席にアクリル板の壁を作り、隣の人との感染防止に配慮しているところもあります。

今週出かけた青山のお店は、結婚式の披露宴会場のような円形テーブルでしたが、隣の席とアクリル板で仕切られていました(写真)。

しかし、不思議なことに横とは遮断されているのに、真向かいには何の壁もなく、抜けています。

横を仕切っているアクリル板のせいで、同じテーブルの人の話がよく聞こえないので、結局全員がテーブルの中央に顔を寄せて、話し込んでいました。これではアクリル板は、感染防止に逆効果です。

このような仕切りを入れても、感染防止に実質的な意味がないことは、少し考えれば誰でもわかることです。本気で感染防止をしようとするより「アリバイ作り」の側面が強いように感じました。万が一感染者が出た場合に「感染防止対策をやっていました」と言い訳できるようにしているのです。

コロナウイルスへの対し方には、他にも理解できないことがあります。

平日のお昼に歩道を歩いていると、太陽が照りつける灼熱状態の中で、マスクをしていないのは私だけで。他の全員がマスクをしていることがありました。しかし、屋外で誰も話をしないで無言で歩いているのにマスクは必要なのでしょうか?コロナ感染リスクより、熱中症リスクを考えるべきだと思いました。

これもマスクをすることで周囲から批判されないために、何となくしているという側面が強くないでしょうか。

日本人のコロナ感染防止対策は、本気で感染防止を考えることより、感染した時に周囲から批判されないようにするにはどうしたら良いかを優先しているように見えます。

専門家でもわかっていないことが多いコロナウイルス。仮説と検証を繰り返しながら、感染防止に本当に意味のある対策を進めるべきだと改めて思いました。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年8月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。