まだまだ足りない日本人の外貨資産

日本人の資産運用が外貨志向に変化していることがデータによって明らかになりました。

日本経済新聞によると、上場投信(ETF)を除く日本の公募投信で今年の1~8月の間に、グローバル株式投信には差し引きで約1兆6000億円の資金が流入しました。前年は、約400億円の流出でしたから、流れが逆流していることがわかります(図表も同紙から)。

一方で、国内株で運用する株式投信は同約5400億円の流出と、資金流出が続いています。

今までの日本の個人投資家は「投資=日本株投資」という発想が強く、日本株の個別銘柄に多くの時間を割いてきました。マネー誌のような専門雑誌の特集記事を見ると、未だに日本株の個別銘柄になっており、読者ニーズに対応した誌面構成であることがわかります。

日本人の個人金融資産の半分以上は預貯金に偏在しており、多くの日本人は相変わらずの預貯金だけのポートフォリオを保有していることが予想できます。グローバル株式投信を購入しているような人は、まだまだほんの一握りなのです。

しかし、このようなアーリーアダプターが海外資産にシフトを始めた事は、これからの日本人の資産運用が変わっていくきっかけになるのではないかと期待しています。

投資対象を多様化することにより、リスクを抑えながら期待リターンを高めていくことができる。これはファイナンスの基本的な考え方です。

外貨資産にシフトするだけではなく、金融資産から実物資産への投資対象の拡大もぜひこれから進めてほしいと思います。

日本人の資産運用の「革命」はまだ始まったばかりで、これから大きなうねりにしていくことが必要です。そんな流れを後押しすべく、私も新刊書籍「アセットアロケーション革命」で啓蒙活動を行ったり、ユーチューブの動画配信の定期配信で、日本人のお金に対する考え方を変えるためのお手伝いをしていきます。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年9月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。