今週のつぶやき:悩む投資家、V字回復のGDPなど

あまり全国区の話題になっていないのが大阪の都構想をめぐる住民投票でしょうか?11月1日にその審判が下されるわけですが、下馬評は相当の接戦。そして当初は勝利ムードすらあった推進派が反対派の猛烈な押し返しで予想困難な状況にあります。2015年の住民投票の際は49.6対50.4、その差1万票で反対となりました。接戦具合はアメリカの選挙より面白いのかもしれませんがさてさて。

では今週のつぶやきをお送りします。

悩む投資家、展開が読めず

大統領選挙を週明け火曜日に控えてアメリカの株式市場が荒れています。木曜日に発表されたGAFAの決算。結論からするとグーグルだけが株価のプラス反応であとの3社は大きくダウン。2カ月前ならば市場は買う理由を探していましたが今は売る理由を丹念に探しています。それが大統領選へのイライラなのか、増えるコロナ患者への懸念なのか、と言えば両方なのでしょう。

バイデン氏とトランプ大統領(バイデン氏Facebook、ホワイトハウスHPから)

ここにきてトランプ大統領がバイデン氏を追い上げているとする報道が目立ち始めました。これが株式市場を大きくそして長く混迷させる原因になるかもしれません。理由は郵便での投票者が7000万人規模となっており、特に接戦州では結果がそう簡単に出ない可能性があるからです。下手すれば月単位で宙ぶらりんになることすらあり得ます。これはその間、アメリカの国政が放置されやすくなることを意味し、コロナ対策ですら誰がどうするのか、ここが不明瞭なのです。

バイデン氏が当選すれば大統領就任以降、厳しい制限を行う可能性があり、経済活動が急激に萎むかもしれません。また、各種経済支援のバラマキの結果、財政悪化が著しくなり、ドルが大きく売られるシナリオもある程度考えなくてはいけません。コロナが比較的落ち着いているアジア圏の通貨、円や中国元が先々上がる可能性は一応視野に入れておいた方がいいのかもしれません。

不思議なコロナ後のGDPのV字回復

7-9月期のアメリカGDPは年率換算33.1%の上昇と報じられたのを聞いてGDPがそんなに乱高下するのだろうか、と唖然とする思いだったのですが、その翌日に発表されたユーロ圏の同期間のGDPは年率換算61.1%の上昇と聞いて正直、何が何だか分からなくなっているのは私だけではないでしょう。コロナで最も打撃を受けている欧州の経済が昨年7-9月と比べて4.3%を下回る程度、アメリカにおいては2.9%を下回る程度まで回復したというのです。

craftbeermania/写真AC:編集部

そんな中、日本の同期間のGDPは11月16日に発表予定で専門家の事前予想は年率換算18.3%上昇の予測。これは非常に低いと感じます。昨年の7-9月期に比べ比べ6.2%低い水準は欧米のコロナ禍よりも経済の回復力が鈍いというのはどういうことなのか、考える必要がありそうです。専門家の予想は設備投資と住宅の回復が鈍いとみているようです。確かに欧米では不動産価格が高騰、北米では木材価格は見積しても有効期限が数日しかないといった価格上昇となっています。

報道を見ている限り、各種GOTOキャンペーンで人の動きは見えるので即効薬の消費にはテコ入れをした政府ですが、設備投資や不動産投資は企業などの長期的経営マインドが判断基準です。とすれば現在の日本経済は表層をなぞるだけで骨太の回復力につながっていないともいえます。そういえば菅首相の立ち位置はブレーンの経済学者達がマクロ経済を考えるより携帯の価格引き下げといった個別対応が主体ですが、これは本質的には良い形ではありません。もっと明白な方向感を持った政策実施が求められます。

芸能人の「社会人リテラシー」

俳優の伊藤健太郎さんのひき逃げの疑いによる逮捕は一般人に再び衝撃をもたらしました。もちろん、一般人にもひき逃げをするケースはたびたび発生しており、現代の警察力をもってひき逃げができる可能性はほとんどないにもかかわらずそこから立ち去るのは心理的な弱さ以外の何物でもありません。同様のケースは18年に元モー娘の吉澤ひとみさんが飲酒ひき逃げで逮捕されています。また山口達也さんがひどい飲酒運転で捕まった記憶も新しいところです。

芸能人が生み出す社会的影響と経済効果は極めて大きいものがあります。とすれば芸能事務所はその責任を負っているわけで所属俳優やタレントにどのような管理とその体制を敷くか明白なポリシーを提示すると同時にその違反者に対する厳罰の徹底はどれだけ売れているタレントでも誓約させなくてはいけません。

一般企業の中には軽い飲酒運転で警察から罰金を貰っただけで会社を首になるところもあります。社会的道義に反するような事件、不祥事は会社員でも公務員でもそれまで培ってきたものをすべて失うのが当たり前なのに芸能界ではそれが緩すぎるような気がします。大麻や覚せい剤で捕まる有名人はいつまでたっても変わりません。これは芸能事務所が儲けようとする気持ちが大きすぎるからで売れっ子になればなるほどわがままで使い勝手が悪くなる駄々っ子ばかりです。捕まった伊藤健太郎さんも相当の使いずらさだったようでほっとしている関係者もいるとか。売れればいいという社会をまずは改善することでしょう。

後記

10日間で興行収入100億円という記録を達成した「鬼滅の刃」。当初海外受けしないとされ、私どももカナダでのマンガの販売の宣伝はしていたものの今一つの反応でしたがここにきて発刊分全巻大人買いする方もちらほら見受けられるようになり、海外でのブームも起こるのでしょうか?日本の取次に発注してもほとんど注文通りにならないところが玉に瑕。そういえば活動休止が間近に迫る「嵐」の出ている雑誌の引き合いも急上昇、こちらも嵐が雑誌の表紙に出ているのは全部欲しいという大人買いする方もいらっしゃいます。逞しいです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年10月31日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。