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大阪都構想の投票が終わりました。ぶっちゃけわたしは大阪都構想にはあまり興味がないので経過を生暖かく見守っておりましたが、正直、危ないのでは思っていました。後出しじゃんけんですが、根本的な維新の方針がミスっていたと思ってます。ヘビースモーカーで喫煙を我慢できない松井さんが禁煙するだけで支持率が上がったと思うが、根本的な戦略が間違っていたのです。最初に結論を言うと
住民投票で「民意の御旗」を手に入れようとしたことです
※法的に住民投票するしかなかったんだけどね
これは決定的な間違いでした。どうしてこれがダメなのか。そしてこの手法が日本の未来に大きく影を落としたということも説明したいと思います。
人口の激減でこんなにたくさんの日本の都市が消滅していく現実
全く一般認知が進んでいないのですが、前にブログに書きました。東京でも豊島区は東京23区では唯一、20年後に消滅の可能性大です。豊島区でそうなのですから、全国でいうとこんな感じ。あとたった20年・・・
2040年には全国896の市区町村が「消滅可能性都市」に該当。うち、523市区町村は人口が1万人未満となり、
消滅の可能性がさらに高い
国土交通省のサイトに掲載されています。
○消滅可能性都市は全国の自治体の49 8%
○秋田県は大潟村を除いたすべての自治体が「消滅可能性都市」。その後青森県(87.5%)、島根県(84.2%)と続く。もっとも割合が低いのは愛知県(10.1%)。
秋田県人は見てますかあ〜「東京から帰省してくるな」といってるうちに20年後は秋田県ほぼ全ての自治体が「消滅可能性都市」。コロナ怖い怖いの前にもうちょっと考えた方がいいよ。あと20年後だぞ。で、人口が減るとどうなるのかというと、みんな全く分かっていないのだが
公的サービスが低下します。当たり前だけど。
→税収が減るから全国各地の田舎はみんな夕張化していく。
首都圏に人口が集まっているので、20年経過すると首都圏は高齢化が進み、田舎はみんな死に絶えていきます。結果として田舎は医療も介護も人手が余りまくって都会は足りなくなります。こんな感じ。
さて、上記のように全国の自治体の半分があと20年後には消滅可能性都市になるわけですが、この場合、大阪のように住民投票は不要です。あっさりと上で決めて「来年で××市はなくなって××市と××市と合併して新××市になりますよ」とか「××市とはどこも合併してくれないので××町にランクが下がります」みたいになります。
なんで大阪市だけ投票になったのかというと、大都市地域における特別区の設置に関する法律という法律が2012年にできたからですね。政令指定都市と隣接自治体の人口が計200万人以上の地域が、市町村を廃止して特別区を設置することができますが、道府県と基礎自治体は特別区設置協議会を設置した上で特別区設置協定書を作成し、各自治体の議会による協定書の承認を経たのちに、関係市町村の住民投票で過半数の賛成を経た上で、市町村を廃止したうえで特別区を設置する手順になっているからです。
大阪市がなくなるのは住民投票必須!!
あと10年もしたら日本中で多くの市町村が人口の減少でその自治体をどんどん維持できなくなるわけですが、そのときになって
なんで大阪市は住民投票でわしらは違うんだ!
といっても大阪市は人口200万を超える政令指定都市だから投票必須だったのです。あんたら田舎の市や町が無くなるのは関係ないぞ。ついでにいうと
大阪府の人口は激減していますが大阪市の人口減少スピードはずっと遅く、出生中位統計だと2045年でも250万人ですので維新は200万人を切るまで待っているわけにもいかずに住民投票になったものと思われます。
なぜ大阪維新は都構想で敗れたのか
面白いデータがいくつか上がってきました。
まず、年代別の出口調査
明確に都構想に賛同していたのは働き盛りの30〜40代。逆に反対だったのは高齢者群です。若年層は賛成と反対が拮抗しているように見えます。高齢者の次にリテラシーが低いのは実は若年層だから、改革を嫌うのではないかと。高齢者は「自分が生きてる間はそのままでいて」というのがごく当たり前だし、いまの若年層はとにかく面倒くさいのが嫌い。そして調べなければ大阪が、いや日本がどれだけは危機的状況なのかも分かりません。
お前ら、少しは検索して調べるとかしないのか。調べるのも面倒くさいっていうやつまでいた。
最新の情報通信白書ですが、若年層はとにかく「検索」をしない。一番するのは30代。一番しないのが10代で次が高齢者。20代は高齢者と10代の次に検索をしない。スマホを使うのはSNS、つまりLINEとかInstagramとかTIKTOKみて笑ってるだけ。次に突出してるのはYouTube見てるだけという・・・
大事な事だからもう一回
若者と高齢者は年代別で一番検索をしません!!
「維新を怪しいと思った」「都構想の中身がよく分からなかったから」と言う人もいますが、怪しいのは、れいわや共産党と共闘した大阪自民も良い勝負だし、都知事選でも小池百合子の政策に全く興味がない人たちがみんな小池百合子に投票したので、単に「政策人気投票」だったのだと思います。でもって調べない人たちが反対した?
で、また5年後にやっても高齢者率はさらに上がっているのでまた負けますね。
しかし維新の支持は大阪では圧倒的です。
産経新聞が大阪市民を対象に行った大阪都構想をめぐる世論調査では、大阪府の吉村洋文知事(大阪維新の会代表代行)による新型コロナウイルス対策を評価する声が8割を超えた。吉村氏を「支持する」とした人は75・5%にも上り、「圧倒的な『吉村支持』が都構想賛成を押し上げているのではないか」とみる維新幹部もいる。9/6の産経
つまり
維新は支持するが、主たる政策は支持しない!! www
という世にもおかしなねじれ現象になってしまっているわけです。そもそも大阪維新は都構想のために誕生した政党で、コロナのために誕生した政党じゃない。それなのに主たる政策を否定されたわけなので立場ゼロ。ライフゼロ。なわけですね。
自分は大阪都構想についてはあまり興味がなかったのでよく知らないのであるが、こうしたほうがよかったと思うのは以下の2点。
1 住民サービスが低下するについては、なにしたって人口減で低下するよって開き直る
これは本当です。大阪府の人口がこれだけ減少していくわけだから、同等の住民サービスがこれから保っていけるわけがない。むしろなんとか維持するためにはムダを削るしかない。このほうが説得力があった気がする。
2 松井さんが禁煙する
前々から言っているが、松井さんのイメージが悪すぎる。ヤニ臭い親父のイメージしかない。止めていたら若年層や女性の票がもっと入った気がしますよ。だって人気投票だから。w
タバコも止められない意志の弱さでなにが都構想だ!!これはわたしも100%同意です。
そんなわけで、もはや大阪都はないわけですが、間違いなく安倍さんが憲法改正の国民投票に踏み切っていても「自民党は支持するがなんか戦争になったら嫌だから憲法改正は反対だ」という高齢者に押しきられて廃案は決定でした。
要するに日本では住民投票ではどんな改革も通りません。だって世界一の高齢化社会だから。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2020年11月2日の記事より転載させていただきました。