ワンルームマンションの管理料は「ゼロ円」になる?

投資用ワンルームマンションに毎月かかるコストとして、管理組合費、修繕積立金、賃貸管理料の3つがあります。管理組合費と修繕積立金は、物件によって決まっていますが、賃貸管理料は管理会社によって変わってきます。

従来、ワンルームマンションの管理料は3000円前後が相場でしたが、最近1000円という低価格を打ち出す管理会社が増えています。

そんな中、ワンルームダイレクトが、更に踏み込んだ管理料500円プラス税を打ち出しました(管理会社は、グループ会社のゲイツエンタープライズ社)。

他社物件を管理移管すれば、全てキャンペーン期間中は500円になります。ただし、500円になるのは期間限定で、キャンペーン終了後は1000円プラス税に戻ります(また、購入者に付与される空室保証などは付かないそうです)。

一戸でも、月額3300円のコストが550円になれば、毎月2750円の節約。年間では33000円のコスト削減ですから、馬鹿になりません。

複数戸保有している人は、更に大きなメリットになります(10戸なら年間33万円!)。

とは言えディスカウントで気になるのは、クオリティです。果たして500円で真っ当な物件管理が可能なのでしょうか?

ワンルームダイレクトの担当者の話では、管理単体では500円では収益的に厳しいそうですが、物件の買取などの関連ビジネスへの広がりをトータル考えて採算を弾いてるとの事です。

管理はクオリティが低いと、解約されてしまいます。低コスト低クオリティのサービスを始めてみても、評判を落とすだけで割に合わないことは、良くわかっているはずです。

投資家の立場から見れば、まず利用してみて、満足できなければ、また別の会社に管理を移管すれば良いのです。

同社のセミナー(ワンルーム格付け選手権)に今月17日にゲスト登壇しますので、その時にも代表の関野氏に色々質問してみたいと思っています。

このような価格破壊で思い出すのは、1999年10月1日の株式売買手数料完全自由化です。当時マネックス証券は、手数料1000円を打ち出し、従来の固定手数料の10分の1という思い切った価格設定でネット証券ブームを巻き起こしました。

その株式売買手数料も、今や一部の取引は手数料ゼロ円になるくらい競争が激化しています。

ワンルームマンションの管理料も、いずれゼロ円になるのかもしれません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年12月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。