ビットコインの乱高下に「振り回されない方法」

SKapl/iStock

暗号資産ビットコインの価格が乱高下しています。年末年始にかけて、急激な上昇を見せ、一時日本円で1ビットコイン=430万円まで上昇しました。ところが先週末になると今度は一気に下落して、1月12日10時時点では360万円前後となっています。

年末からの上昇の要因としては、機関投資家の参入が考えられます。

個人投資家だけではなく、保険会社や年金基金といった機関投資家がアセットクラスの1つとしてポートフォリオに組み入れる動きが出てきたことで、長期保有する投資家が増えれば、需給は改善します。

また、昨年発表されたペイパルなどがビットコインを決済手段として使えるようにしていくという報道もプラス材料に働いています。

短期的な価格の乱高下は、大口の売買によって価格が動き、それに追随する投機的な資金が売買を行ったことが要因のようです。

私は個人的には暗号資産に関しては、長期的に強気な見通しを持っており、資産の10%程度までは保有しても良いと考えています。

ただし、購入方法は投資信託による金融資産への投資と同じように「2つの分散」を忘れないことが重要です。

1つ目の分散は「投資対象の分散」です。

暗号資産には、まだ確立したインデックスはありません。直近の時価総額を見ると、上位はビットコイン、イサリアム、リップル、ライトコイン、ビットコインキャッシュなどとなっています。

その中でも、ビットコインが全体の70%程度のシェアを占め、圧倒的な存在感となっています。つまり、暗号資産を購入するのであれば、ビットコインを中心にし、それ以外の主要ないくつかの通貨も組み合わせていくのが良いと言うことです。

そして、もう1つの分散は「投資タイミングの分散」です。

暗号資産のように短期的に大きく値動きする資産は、感情的に取引すると、株式と同様に高値づかみになるリスクが高くなります。

投資信託の積み立てと同じように、定期的に同じ金額を積み立てるドルコスト平均法による投資が良いでしょう。

2つの分散を組み合わせることで、短期的なマーケットの変動に振り回されることなく、暗号資産をアセットアロケーションの中に取り入れていく。

果たして今年の年末のビットコインの価格はいくらになっているのでしょうか?


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年1月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。