晴海フラッグ完成延期で補償を求める「不思議な人たち」

東京オリンピックの選手村跡地に建設されるという事で、最近何かと話題の晴海フラッグですが、また朝日新聞デジタルに記事が出ていました。

販売当時のモデルルーム

今度は、購入者が民事調停という内容です。

オリンピックの延期で、引き渡しが1年遅れることになった晴海フラッグの購入者が、その賠償を求めるというのです。「購入者は新しい生活に備え、準備を始めていた。現実に多大な影響が生じる以上、相応の補償がなされるべきで、一方的に延期を受け入れるよう求める対応はおかしい」と主張しているそうです。

それに対して売り主は「五輪延期に伴う引き渡しの遅延は、法律上、補償が必要な場合に該当しない」と説明しています。

20人程度のの購入者が賠償を求めて、東京地裁に民事調停を申し立てるそうです。

私も購入者の1人として、もし補償してくれるのなら、ありがたい事ですが、これはちょっと無理筋ではないかと思います。

そもそも引き渡しが遅れる可能性は、契約に明示されています。

しかも、東京オリンピックの延期が決まった時点で、購入者全員にペナルティ無し(既に支払った購入額の10%を全額返金)で解約できる選択肢も提供されていました。遅れるのが嫌なら、その時点で解約すれば良いだけの話です。

にもかかわらず、裁判所に補償を求めていくと言うのは、なんとも不思議なことです。

もしかしたら、引き渡し延期に関する説明会の開催などをリクエストしたのに拒絶され、プライドの高い購入者が態度を硬化させたのかも知れません。

あるいは、「ゴネ得」と思って、確信犯でやってるのかもしれません。

入居時期が遅れてしまうのはとても残念なことですが、晴海フラッグは日本の大手不動産会社が結集して総力を挙げて作り上げる素晴らしい集合住宅になるのは間違えありません。入居するなら、デベロッパーに子供の喧嘩みたいな無茶を言わないで、気持ちよく入居したいものです。

 


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年1月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。